Netflixについに訪れた財務上の「画期的瞬間」 借金王が自転車操業から脱却することの意味
動画配信大手ネットフリックスの財務に画期的な瞬間が訪れた。借金する必要がなくなったのだ。
ネットフリックスは1月19日に公表した2020年第4四半期(10〜12月期)決算報告で「日々の事業活動では、もはや外部から資金調達する必要がなくなった」と述べた。巨額の負債を抱える同社にとっては、極めて大きな一歩といえる。
ネットフリックスはコンテンツの巨大な山を築こうと、過去10年にも満たない期間に160億ドル(約1兆6500億円)を上回る巨額の資金を借り入れている。理由は簡単だ。作品の制作費と会社のコスト、すなわち人件費、家賃、マーケティング費用をまかなえるほど収益が上がっていなかったのである。
倒産に向かう「砂上の楼閣」ではなかった
こうした事実から、同社の事業モデルをくさす声は長いこと絶えなかった。借金まみれのネットフリックスはいずれ崩れ落ちる「ハウス・オブ・カード」(砂上の楼閣)にすぎない――。業界ウォッチャーの間では、そんな意見が以前からまかり通っている。
共同創業者でもあるリード・ヘイスティングス共同CEOは、ハリウッドがすぐさま動画配信に対応してくるとみて、コンテンツの拡充を急いだ。そして、配信動画の使用料や莫大な制作費の支払いに充てるために借金を重ねた。
リスクは明白だった。返済期限までに十分なキャッシュを稼ぎ出せなければ、大変なことになる。ヘイスティングス氏は債務の時限爆弾のカウントダウンを上回る速度で有料会員数の獲得(と値上げ)を進められると考え、その可能性に賭けたのである(ハリウッドがデジタル配信市場に何年と参入しなかったのは想定外だったが、おかげで一段とリードを広げることができた)。
この「ギャンビット」(戦法)はうまくいったようだ。確かにネットフリックスはまだ100億〜150億ドルの債務を抱え続けることになる。しかし、同社によれば、巨額のコンテンツ関連予算を維持しながらも、債務返済に回せるだけの売上高を確保できるようになった。