Netflixについに訪れた財務上の「画期的瞬間」 借金王が自転車操業から脱却することの意味

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新型コロナウイルスによる巣ごもりで動画配信市場が盛り上がった結果、有料会員数は2020年第4四半期に850万人増加し、同年末時点で2億360万人に達した。うちアメリカ国内の会員は6600万人だ。今年1〜3月には、さらに600万人の新規会員獲得を見込んでいる。

会員数が2億人を突破したことで、2020年の営業利益は前年比76%と大幅に拡大。自社株買いを検討しているとの会社コメントを受けて、株価も急伸した(自社株買いを行うと、1株当たりの価値が上がる)。

この第4四半期に最も視聴されたコンテンツの1つは『ザ・クラウン』のシーズン4で、同シリーズが配信後に引き寄せた視聴者は1億世帯を超える。ネットフリックス映画では第4四半期に配信開始となったジョージ・クルーニー監督・制作・主演のSF作品『ミッドナイト・スカイ』が7200万世帯によって視聴された。

巨額の借金によって作品制作を強力に推し進めた結果、2021年に配信予定の映画は70本と、際立ったコンテンツ力を見せつける。毎週1本以上の新作が公開される予定だ。

出演俳優の顔ぶれもレオナルド・ディカプリオ、メリル・ストリープ、ドウェイン・ジョンソン、イドリス・エルバ、ゼンデイヤ、ジェニファー・ローレンス、ガル・ガドット、ナオミ・ワッツ、オクタヴィア・スペンサーなど、ハリウッドにまったく引けを取らない。

ライバルを振り切れるか

もちろん、現金をガソリンのように燃やして業界制覇への道を突っ走る戦略には今も危険がつきまとう。ハリウッドの猛追がいよいよ始まり、圧倒的な規模を誇るウォルト・ディズニー・カンパニーやAT&Tも、それぞれが「ディズニー+」「HBO Max」といった自前サービスで殴り込みをかけてきた。消費者の選択肢が広がり、ネットフリックスの市場シェアを脅かす存在となっている。

ライバルの登場は止まらない。3月4日にはバイアコムCBSの動画配信サービス「パラマウント+」が利用開始となる予定。アマゾン・プライムビデオやフールーは競争相手として手ごわく、複数の動画配信サービスを月ごとに使い分ける「スイッチング」も大量に起きている。コンサルティング会社デロイトの調査によれば、お目当ての番組を見終わると、その動画配信サービスを解約して別のサービスに切り替える人が増えている。

同調査によると、有料の動画配信サービスを過去1年間に解約したことのある利用者は2020年1月時点では全体の20%にとどまっていた。しかし次々と新しいサービスが登場する中、過去6カ月間で有料の動画配信サービスを1つでも解約したことのある利用者は2020年10月には46%と、半分近くにまで高まっている。

(執筆:Edmund Lee記者)
(C)2020 The New York Times News Services

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