ストーリーで共感呼ぶ、ユニリーバのCSR

すべてのステークホルダーの意識を変えよ

「プランA」で最も持続可能なスーパーへ

英国の老舗スーパーマーケットであるマークス&スペンサー(M&S)も同様だ。同社は「世界で最も持続可能なスーパーマーケットになる」という究極の目標設定をし、「プランA」というCSR戦略を実行している。「Plan A Because there is no Plan B(プランA、代替案はありません)」というキャッチフレーズで、M&Sが本気でプランAを実施していくことをステークホルダーに明確に伝えている。

プランAは次の7つの柱から成り、各柱の下に、20の大きな目標と180のコミットメントを設定、2015年までに達成することを表明している。

■「プランA」の7つの柱
① 我々の顧客をプランAに巻き込む
② プランAをつくる、どのように私たちはビジネスをしていくのか
③ 気候変動
④ 廃棄物
⑤ 天然資源
⑥ フェアパートナー
⑦ 健康と福祉

M&SはプランA達成のために、自社の重要なステークホルダーを巻き込むというストーリーを作った。「なぜプランAを実施することが重要なのか」、「プランAの活動はM&Sだけではできず、顧客やNGO、チャリティ団体と一緒に実施することが重要だ」と伝え、さらに、どのようにプランAに貢献しているかをストーリーとして語っている。

たとえば、プランAで取り扱う商品は、フェアトレード・コーヒーや森林認証品(FSC)、持続可能な漁業の認証(MSC)など持続可能性が配慮されている。この商品の取り扱いでなぜコストが上がるかを説明するのではなく、持続可能な消費とはどういうものか、それがなぜ重要なのかを顧客に伝えている。

また、プランAの中に「ショワッピング・キャンペーン」という、顧客、NGO、従業員などのステークホルダーを巻き込むストーリーが含まれている。「ショワッピング」は、「ショッピング」と「スワッピング」(交換する)を掛け合わせた造語。M&Sは同社の店舗で買い物する際に、顧客に使用済み衣類を持参してもらうという取り組みを進めている。英国では年間50万トン(10億枚)もの使用済み衣服が埋め立て処理されている。これを減らすという、欧州や英国が抱える大きな社会課題を解決するストーリーだ。

回収した古着は協働事業として国際NGOのオックスファムが販売し、リサイクルを推進。埋め立て処理を減らすだけでなく、得たお金で人道援助や、世界の貧困撲滅への貢献も行う。

販売に適さない古着は繊維に戻し、再利用して「ショワップ・コート」というオリジナルの衣料商品に仕立てる。価格は新品の材料を使用した場合の半値に設定。資源を有効活用しながら、ファッション性のある環境配慮製品も生み出す。顧客自らが社会課題の解決に貢献できる活動を通じて、持続可能な消費のあり方を伝える仕組みだ。

真摯な姿勢で、共感を抱いてもらうこと

いずれの事例も企業を取り巻くステークホルダーを巻き込まなければ、達成は難しい。誰もが、実施する価値を感じ、解決に貢献したいと思わせる「共感を呼ぶストーリー」が必要となる。

自社がどれほど本気でこうした社会課題に取り組もうとしているのか、また、持続可能な社会の構築に貢献しようとする真摯な企業姿勢や本物の情熱を見せることが重要で、ステークホルダーはその部分に共感を抱く。これらがうわべや見せかけの活動であれば、すぐに見抜かれてしまうことを忘れてはならない。

「サステナブル・ストーリーテリング」は、企業のマーケティング戦略や、イノベーション、そして、従業員に対する提案や教育にも結びつく。単なる商品販売目的を超えたマーケティング戦略の一環としても機能するという点では、社内でも理解が得られやすいと思われる。

「ストーリーテリング」の手法の重要な要素に、「自分が打ち立てた将来のストーリーを信じ、熱意と情熱を持って伝える」ということがある。筆者は「サステナブル・ストーリーテリング」は、CSRに関する社内への説得、そして社内外へのエンゲージメントへの、ひとつのカギになると考えている。ぜひ「サステナブル・ストーリーテラー」となって、CSR変革へ、自分の熱意と情熱を伝えてほしい。

ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ブックス・レビュー
  • スナックが呼んでいる
  • 競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • インフレが日本を救う
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
50歳からの<br> お金の教科書

リタイアも見えてきた50歳。老後は1億円必要といわれ、不安なのはお金だが、どう向き合えばよいのか。高齢期は低リスクが第一。各種保険や仕組み債のリスクも盛り込み、人生100年時代の「正しい資産運用術」を個別具体的に指南。