ヤクルト高津臣吾監督が感じた「究極の悔しさ」 内川選手ら新戦力とともに2021年こそ優勝を

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──現役時代には何度も胴上げ投手として歓喜の瞬間を味わってきました。たとえ、失敗を喫したとしても、すぐに自分の手で雪辱するチャンスもありました。しかし、現在の「監督」という立場では、自分自身ではどうすることもできない。ただ見守ることしかできない。そんな歯がゆさもあるのではないですか?

高津 自分の現役時代と比べれば、1つの敗戦をずーっと引きずるというのか、「ああすればよかった」「こうすればよかった」「こんな手を打つべきだったのではないか?」などと考える時間がかなり長くなったのは間違いないですね。

「これができた、あれができた」「こうすればよかった、こうしなければよかった」という思いばかり(写真:アルファポリスビジネス編集部)

──監督にとって「采配で勝てた試合」「采配で負けた試合」というのは、具体的に浮かびますか?

高津 さっきも言ったように、勝った試合よりも負けた試合の方が強く印象に残っているので、「采配で勝った試合」というのは探せばあるのかもしれないけど、すぐには浮かばないです。それよりも、「これができた、あれができた」「こうすればよかった、こうしなければよかった」という思いばかりです。僕の采配、選手の起用法、作戦がしっかりしていれば、今年のような成績にはならなかったので、その点はすごく反省しているし、責任を感じています。

ソフトバンクにはすべての面で劣っている

──話は変わりますが、先日の日本シリーズではセ・リーグ覇者の巨人がソフトバンクに4連敗を喫しました。監督はあのシリーズをどのように見ましたか?

高津 テレビでしか見ていないので、細かいところまできちんと把握しているわけではないけど、ひと言でいえば「自分たちとの違いを感じた日本シリーズ」だと感じました。そして、ソフトバンクの強さを再確認しました。選手個々の身体の大きさの違い、体幹の強さの違い、監督の試合の進め方、運び方の違い……。何から何までわれわれと違う。決して簡単なことではないけど、「日本一」を目指す集団である以上、ソフトバンクを倒すことを目標にしなければいけない。そんなことを感じました。

──選手層を含めた編成面、首脳陣たちの戦術、作戦面、選手個々の技術面など、ソフトバンクとヤクルトとの違いを痛感することになったということですか。

高津 そうですね。今のままでは絶対にソフトバンクには追いつけない。ならば、どこを変えるべきか、何を改善すべきか、そういうところを一つひとつ丁寧に検証していくしかない。悔しいけれど、その差は歴然としています。「自分たちはすべてが劣っている」という自覚を持って臨んでいかないと、絶対に勝てない。このままでは絶対にいけない。そう思わされました。

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