取引先に社員を派遣するときの注意点とは? プロに聞く!人事労務Q&A
労務利用形態には6パターンある
結論から先に申しますと、取引先企業の繁忙期に臨時的に応援に行くことや、社員が取引先企業の指揮命令を受けて働くことなどの実態から判断しますと、「出向(在籍出向)」の契約形態の手続きをとることが適切ではないかと考えます。企業における第三者の労務利用形態には次のようなものがあります。
(1)請負、(2)業務委託、(3)出向、(4)店員派遣(代理店派遣など)、(5)労働者供給(職業安定法第44条により禁止。一部、労働組合などの例外あり)(6)労働者派遣(労働者派遣法の規制による)
このうち、(1)~(4)については、それが(5)の「労働者供給」または(6)の「労働者派遣」に該当するものでないかぎり、企業間の自由な契約として実施が可能です。それぞれについて、簡単に説明します。
(1)の「請負」は、労働の結果としての仕事の完成を目的とするものです。今回の質問のケースで言えば、取引先企業内に、自社の社員としてリーダーをおき、当該リーダーが作業指示を行い、出退勤・勤務時間の管理なども行う形態をとる必要があります。
注意すべき点は、企業間で名目上、請負契約になっていて、取引先企業(発注者)から作業命令や指揮命令が出ていた場合は、いわゆる「偽装請負」ということになり、労働者派遣法の違反になります。よって、今回のケースでは、取引先企業の指揮命令を受けている点で請負の契約形態は不適当と思われます。
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