MIT理系エリートが育った家庭環境とは?

最良の教育は親が楽しむこと、「楽しそう」だから子は興味を持つ

世界の理系エリートが集まる米国トップスクールMIT(マサチューセッツ工科大学)。そこには、どんな学びがあるのか? 6年半の留学の後、紆余曲折を経て、夢のNASAジェット推進研究所に職を得た著者が、 『宇宙を目指して海を渡る MITで得た学び、NASA転職を決めた理由』 刊行を記念して大好評連載を一時復活!!

米国で学んだ日本人留学生たちの共通点とは?

6年半のMIT留学とNASAに職を得るまでの学びを全部詰め込んだ新刊、好評発売中!(Kindle版はこちら

僕がMITの学生だった頃、同じく学位留学をしていた日本人の仲間たちと酒を片手に身の上話をよくした。

そこで気がついたのは、彼らのうちで、親の海外赴任で子どもの頃に海外に住んだことがあったり、また、親に留学経験があったりする人が比較的多いということだった。

僕もそうだった。子供の頃、食卓で両親が楽しそうに話していたことといえば、決まってアメリカ時代の思い出話だった。

僕も一緒にアメリカにいたはずなのだが、赤ん坊の頃だったので、記憶も英語もひとかけらも残っていなかった。

だから僕の脳には、「アメリカって楽しいんだろうなあ」というあこがれだけが、記憶を伴わずに焼き付いた。その後に僕がMITに留学した理由は、意識的には宇宙工学を究めたかったからなのだが、無意識的にはこの幼少からのあこがれがあったのだと思う。

著書には僕の家族が頻繁に登場する。それは親の自慢をしたかったわけでも、妻とのノロケ話をしたかったからでもない。単純に、今の僕を、彼らなしには語ることができなかったからだ。とりわけ両親からの影響は絶大だった。反抗期の頃は親みたいには決してなりたくないなんて思っていたのに、今になって振り返ってみれば、僕はあらゆる面であの親の子だと痛感するのだ。本稿では、著書には書ききれなかった家族の話をしようと思う。

あたかもアメリカ行きが決まっているかのように

1980年代はハートのペアルックも許された古きよき時代。 このTシャツは帰国後、パジャマにされる運命にある

父は大手電機メーカーに勤めていて、結婚し僕が生まれた直後、社費留学の機会を得た。

もう少し詳しく書くと、彼は結婚前、まだ社内選抜を通っていなかったにもかかわらず、あたかもアメリカ行きが決まっているかのように話して母の気を引いた。

母は高校で英語教師をしていたので、英語を教えてほしいというのをデートに誘い出す口実に使った。母にも若い女性らしい海外へのあこがれがあったのだろう。父の作戦が奏功して、両親は結婚し、母のお腹に僕が宿った。

僕がオギャーと生まれ、父がその瞬間に立ち会い損ね、母の特大のカミナリが落ちたのが1982年。その数カ月後、父は一足先にアメリカへ旅立った。アリゾナ州のツーソンという、砂漠のど真ん中にある街だった。家のトイレにタランチュラが出没するような場所である。

アリゾナ大学は日本では有名ではないかもしれないが、父の専門である光学では世界でトップレベルの学校だ。そこにいる大物教授の下で研究をするのが留学の目的だった。

次ページ英語教師とはいえ、やはり会話には苦労
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 今見るべきネット配信番組
  • 近所で有名な「気になる夫」の生態
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
トレンドライブラリーAD
人気の動画
東芝、会社「3分割」に残る懸念
東芝、会社「3分割」に残る懸念
節約志向で「安い食品ばかり買う」人の重大盲点
節約志向で「安い食品ばかり買う」人の重大盲点
EVの切り札?夢の「全固体電池」は何がスゴいのか
EVの切り札?夢の「全固体電池」は何がスゴいのか
サイゼリヤが「深夜営業廃止」を決断した裏側
サイゼリヤが「深夜営業廃止」を決断した裏側
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「非財務」で生きる会社、死ぬ<br>会社 企業価値の新常識

今や株価を決める最大の要因は「非財務情報」というのが世界の常識に。優れた開示を行えば企業価値の向上につながる一方で、開示が不十分だと株を売られるリスクも。企業価値の新常識をめぐる混乱とその対処法に迫りました。

東洋経済education×ICT