年末年始こそ実践!「スマホ断ち」の正しい方法 暗いニュースに心を奪われている場合ではない

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だから就寝前の1時間はスマホを見ないのがいちばんだ。その上、スマホが近くにあると夜中に起きてニュースなどをチェックしたくなってしまう可能性もある。

「私のいちばんのアドバイスは、夜は寝室にスマホを持ち込まないことだ。これは大人にも10代にも言える」とトウェンギは言う。「充電ステーションは寝室以外の場所に作るべきだ」。

寝室以外にもスマホを持ち込まない場所を作ることは可能だ。例えば食卓であれば、少なくとも30分はスマホに触れず、団らんすることで家族の合意も得やすいはずだ。

ネットの誘惑に打ち勝つには

テクノロジー企業の製品やサービスは、ユーザーが画面から目を離せなくなるような設計になっている。例えばフェイスブックやツイッターのタイムラインは、私たちが新しい情報を求めて際限なくスクロールし続けるように、アクセス時間が最大化するように作られている。

アダム・オルターはニューヨーク大学ビジネススクールの教授(マーケティング論)で、『僕らはそれに抵抗できない——「依存症ビジネス」のつくられかた』の著者だ。オルターによれば、テクノロジー企業は行動心理学の手法を用いて、自社の製品やサービスにユーザーが依存するように仕向けている。

オルターはユーザーがスマホやネットから離れられなくなる主な要因を2つ挙げた。

押しつけられた目標 

テレビゲームと同じで、ソーシャルメディアでもユーザーをとりこにするための「目標」が用意されている。「イイネ」やフォロワーの数がいい例だ。問題は、こうした目標が達成される日はけっして来ないということだ。

フリクションレスなメディア 

ユーチューブは次のおすすめ動画を自動再生するし、フェイスブックやツイッターを読んでいたらきりがない。読書であれば最後のページがあるように、「以前はどんな体験にも自然な終わりがあった」とオルターは言う。「テクノロジー企業がやったことの中でも、行為を止める合図を奪ったというのは非常に大きかった」。

では私たちは何をすべきなのだろう。最初に、スマホが生活に立ち入ってくるのを防いでその誘惑に打ち勝とう。仕事や大事な人たちからの連絡に欠かせないものを除いてアプリの通知を全てオフにするのだ。自分が深刻なスマホ依存だという認識があるなら、「グレースケールモード」に設定して画面をモノクロにするという強硬手段を取るといいとオルターは言う。

もっと簡単なやり方もある。仕事を別にすると、インターネットで私たちがやっていることの多くは大して重要ではないということを念頭に置くようにすればいいのだ。そうすれば、別のところでもっといい時間の使い方ができるようになる。「いいね!が10つくか20つくかの違いに意味なんてまったくない」とオルターは言う。

(執筆:Brian X. Chen記者、翻訳:村井裕美)
(c) 2020 New York Times News Service

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