本田の言葉から読み解く、日本の2つの課題

日本代表の強みと弱み

 

本田のザックジャパンの攻撃に対する自信はそうとうなものだ。昨年9月、チャンピオンズリーグでバイエルンと対戦したとき、本田はこう言い放った。

「日本代表はバイエルンと打ち合おうと思えば、打ち合えると思っている。下手をしたら3、4点は失点するかもしれないけれど、それと同じくらい得点できるクオリティが日本代表にはあると思っています」

これは決してハッタリではない。インテルの長友佑都が駆け上がって左サイドをえぐり、マンチェスター・ユナイテッドの香川真司が狭いところでパスを受けて相手を翻弄する。右から対角線にドイツで15点を上げたマインツの岡崎慎司が突っ込み、トップ下でACミランの10番がフィニッシュに絡む。世界のどこに出しても恥ずかしくない豪華な顔ぶれだ。

本田が信頼している選手はJリーグにもいる。その筆頭がガンバ大阪の遠藤保仁だ。

「ヤットさんが入ると長いパスと短いパスを使い分けられる」

遠藤がいると、攻撃の引き出しが増えるのだ。

個人の才能、そしてその緻密な掛け算が日本のストロングポイントである。

香川と本田との距離

しかし、当然ながら課題もある。ここでは向き合うべき2つの課題についてクローズアップしたい。2つとも「ザックのこだわり」と「選手の好み」の“矛盾”が関係している。

ひとつ目は「本田と香川のさらなる共鳴」だ。2011年1月のアジアカップのヨルダン戦後に、本田はこんなことを言っていた。

「俺と(香川)真司の距離感が遠かったと感じた。後半は互いにちょっと近くなったけれど、近くても位置が低かったら意味がない。それだと相手は恐くない。また、真司がサイドに張りすぎると、(長友)佑都のプレーが限定されてしまう。逆に俺がサイドに行き過ぎても、ゴールまで遠くなってしまう。もっと効率よく相手ゴールに迫りたい」

あれから3年半が経ったが、2人の距離はまだ最適解を見出せていない。6月2日のコスタリカとの親善試合では、前半は本田と香川が離れてしまい、攻撃がかみ合わなかった。後半に2人が近い位置でのプレーを意識したところ、香川のゴールを含む3点が生まれた。

2人の接近が難しいのは、ザックの指示と矛盾するからだ。

ザッケローニ監督は、香川らサイドハーフの選手にピッチの横幅を広く使うことを求めている。それによって相手を外側におびき寄せられるからだ。だが、同時にトップ下との距離が離れ、サイドハーフが孤立しやすくなる。

監督の指示を完全に無視してしまうとチームとして成り立たなくなる。けれども、聞きすぎても2人のよさが出ない。90分の中で試行錯誤しながらやっていくしかない。

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