何となく不調な人は「伸び」の重要性を知らない 長時間のデスクワークで陥る不調のスパイラル
体を伸ばさずにいると、物理的な圧迫も加わります。伸びていない状態、すなわち前かがみの状態にあると、まず、内臓が圧迫されます。窮屈な状態を強いられることによって、内臓は本来持っているパフォーマンスを発揮できなくなります。また、気道も圧迫されます。
気道というのは、鼻や口から肺に通じている空気の通り道で、ストローのようなものです。そのため、首が曲がっていると、中を通っているストローも曲がります。
すると、空気の通り道が狭められて呼吸が浅くなり、全身の酸素量が低下します。体を伸ばさないことによる物理的な圧迫は、血管にもあてはまります。
血流が阻害されてしまう
血管は全身に張り巡らされているため、腕を曲げているときは腕の血管も圧迫されますし、首が曲がっていれば首を走っている血管が、また、背中や腰が曲がっていれば、上半身と下半身をつないでいる大事な血管が圧迫されます。その結果、血液の通り道が狭くなり、血流が阻害されてしまうのです。
心臓から出た血液は、約1分で全身の血管をめぐり、また心臓へと戻ってきます。その流れを「血流」と言います。血流の役割は、主に5つあります。
- ①水分を保つ
- ②運ぶ(酸素、栄養、ホルモンなど)
- ③回収する(老廃物、二酸化炭素など)
- ④体温を維持する
- ⑤体を守る(免疫力)
心臓は1分あたり約5リットルの血液を送り出しているので、1日に全身をかけめぐる血液は約7200リットルにも及びます。それだけ多くの血液が循環することで、健康の歯車もスムーズに回転し、体の調子が整えられているのです。
ところが、血管が圧迫され、血液の通り道が狭まるとどうなるでしょう。その状態が長く続けば続くほど血流は悪くなり、健康の歯車が狂っていきます。とくに、脳への影響は顕著です。
人間の脳は、進化の過程で350%大きくなり、血流量は600%も増えたと言われています。人間が複雑な思考やクリエーティブな発想をするようになるにつれ、脳のサイズも血流量も高まってきたのです。これは裏を返せば、脳が知的活動を行うためには、血流をよくして、酸素と栄養を絶えず供給する必要があるということです。
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