日本で「オンライン教育が進まない」本当の理由

海外よりIT技術が遅れているわけではない

イギリスではどのようなオンライン教育が行われているのでしょうか(写真:yongshan/ PIXTA)
日本のIT技術は遅れているからオンライン教育が海外より遅れている――。こうした指摘は本当に正しいのでしょうか。元国連職員でロンドン在住の谷本真由美氏による『世界のニュースを日本人は何も知らない2』から一部抜粋し、イギリスで実施されているオンライン教育の実態などを紹介します。

日本の教材は質が高い

私の子どもが通うイギリスの学校の授業を一緒に受けてみた感想ですが、進学校でかなり勉強熱心なのにもかかわらず、オンラインラーニングだからとくにすごいというわけでもない。日本の書店で販売されている問題集を買ってきて家で自習すれば、もっとレベルが高いことをできるのではないかという印象でした。

また動画教材も、正直いってNHKの「Eテレ」で流している子ども向けの教育番組を見たほうが効率的なのではないかと思いました。理科や社会などをテーマにした昔の番組は特によくできていました。芸術や工作だって「できるかな」の再放送でも見ていたほうがずっと役立ちます。

大学で20年以上教員を続けており、学部から大学院博士課程まで幅広く指導してきたイギリス人の家人も私と同じ感想です。私は20年以上前に修士の一部をオンラインで取得していましたし、家人はオンラインのクラスも教えていたことがあります。遠隔教育を世界で最初に始めたThe Open Universityの内情もよく知っています。

コロナ禍の教育に関しては、日本ではなぜか「オンラインで実施」ということがクローズアップされていますが、目的と手段を取り違えている人があまりにも多いように思われます。オンラインはあくまでも道具です。オンラインでやることが重要なのではなく、もっとも大事なのは教育効果やその内容なのです。

これはIT業界にいる人間ならよくわかっていることです。重要なのはシステムを取り入れることではなく、「システムを使って何をやるか」「どんな効果を生むか」です。効率的に仕事や勉強ができるならコンピュータやシステムを使わず、紙と鉛筆と口頭でも十分です。費用対効果をきちんと吟味し、活用するのがITの正しい使い方です。

次ページ日本は代用できる教材が豊富
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 最新の週刊東洋経済
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 財新
  • 今見るべきネット配信番組
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ひろゆき感動「難病61歳の人生サイボーグ化計画」
ひろゆき感動「難病61歳の人生サイボーグ化計画」
優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由
優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由
会社にとって「一番お荷物になる社員」5つの条件
会社にとって「一番お荷物になる社員」5つの条件
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
生前贈与がダメになる<br>相続の新常識

相続をめぐる環境が激変しています。年110万円まで非課税だった生前贈与が税制改正により認められなくなる可能性も。本特集では相続の基本から、よくあるトラブルと解消法、最新路線価に基づく相続税額、さらに生前贈与の将来動向まで取り上げました。

東洋経済education×ICT