日本で「オンライン教育が進まない」本当の理由

海外よりIT技術が遅れているわけではない

日本でオンラインラーニングの導入が急ピッチで進まない理由として、実は、日本にはわざわざオンラインラーニングのシステムを使わなくても代用できる教材や問題集が豊富にあるということが指摘できます。スタディサプリや進研ゼミ、Z会など、民間企業が提供している遠隔教育も良くできていますし、非常にリーズナブルです。

ところがアメリカやイギリスの場合、書店に並ぶ問題集の数や種類が日本よりもはるかに少ないし値段も高額です。残念ながら品質もイマイチです。私は日本へ帰るときは子どものために問題集を大量に購入します。日本では100円ショップで売っている問題集でさえすばらしく質が高いからです。

そして、見逃してはならないのがさきほども例に挙げたNHKの教育番組です。アメリカやイギリスでは、これほど体系的に整った番組を公共放送で放映していません。イギリスの公共放送であるBBCの子ども向けチャンネルは、お楽しみ的な内容ばかりです。日本の場合、英語番組も豊富にあって本当に驚きます。

そのほか、イギリスやアメリカには日本と違って子ども向けの塾がありません。日本だと相当な田舎以外、街に何か所も塾や習い事の教室があって、費用も安く通学するのに便利です。ところがイギリスにもアメリカにもそういう塾がないのです。

大規模なチェーンの予備校もありませんから、学校が休みになっても塾のカリキュラムや家庭教師に頼ることはできません。だからアメリカやイギリスでは、親が学校側に「オンラインラーニングをやれ」と圧力をかけるのです。

他国のほうがオンライン教育が進んで見える理由

さらに重要なポイントがあります。日本では学校の先生が熱心なので、オンラインや動画の授業でも手抜きをしません。その一方でイギリスの先生たちは手抜きをしたいからデジタル化したいのです。普段から「YouTubeで動画を見せておしまい」という授業もかなりあります。進学校ですら、ネットで無料配布している計算のプリントやらパズルを生徒にやらせて終了、ということもあります。

オンラインラーニングであれば、これらのリンクをシステムに掲載して完了です。これが日本で絶賛されていた「先進的」なオンラインラーニングの実態なのです。

これについて家人は激怒しています。大学だと、コピペしたり他校の教材を流用したりすれば盗用や剽窃になるので、教材はイチからせっせとつくります。

ところが幼稚園や小学校の教材は、大学の授業とは比較にならないほど内容が簡単なのに先生は手抜きしまくりです。他国のほうがオンラインラーニングの導入が「進んでいる」ようにみえるのは、なんらかの裏事情があるからだということは知っておいたほうがよいでしょう。

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