捨てづらい「ぬいぐるみ」悔いなく処分する方法 「魂」が宿るとの考えからためらうケースも
人形供養とはどのような儀式なのか。駒田常務理事は、「日本人にとって人形は、単なる飾りものや遊び道具ではなく、つねに生命あるものとして扱われてきた。子供が成人・独立して不用になったり壊れたりするなど、役目を終えた人形やぬいぐるみは、感謝の気持ちを込めて祈祷(供養)し、お見送りする儀式と位置付けている」と語る。
人形供養のうちの1つ、人形感謝代行サービスの具体的な流れを見てみよう。
① 電話(フリーダイヤル)かWebサイトから申し込む。
② 協会事務局(仙台市)から申込者に、「お人形差出しキット」(ひとがた札、お人形送り専用ラベル、手続き説明書、郵便為替払込取扱票)を送る。
③ 申込者は、「ひとがた札」に住所・名前を記入し、人形類と一緒に段ボールに梱包し、「ゆうパック」の集荷を依頼して協会事務局宛てに送る。
④ 申込者は、人形発送1週間以内に、近くの郵便局で料金を支払う。
⑤ 協会事務局に届いた人形類は、神主に祈祷してもらうことにより魂を抜き、「ひとがた札」に魂を移す。そして、「ひとがた札」だけを東京大神宮に持ち込み、祈祷(供養)してもらう。
①~⑤のような方法にしているのは、「昔は、人形類を神宮に持ち込んで祈祷だけでなく、お焚き上げ(火葬)までしてもらったが、近年は科学繊維やプラスチックなどが含まれるようになり、大気汚染につながるということで燃やせなくなった」(駒田常務理事)ためだそうだ。
⑥ 10月頃に東京大神宮で人形感謝祭を開催。協会からは会長はじめ幹部数名が出席する。
⑦ 感謝祭終了後は、申込者全員に完了したことを郵便はがきで知らせる。
年々申込件数も増加
受け付けているのは、人形・ぬいぐるみなどの本体だけで、付属するガラスケースなどは受け付けていない。また、箱の大きさは、縦+横+高さの合計が170cm以内で、重量は30kg以内のもの。料金は、「1箱5000円+ゆうパック料金」となっている。
「人形感謝代行サービス」の申込件数は、2005年のスタート当初は年間200件程度だったが、最近は年間4000~5000件に増えているという。人形・ぬいぐるみの数にすると、申し込み1件当たり平均10体くらいというから4万~5万体ということになる。
増加してきた要因について、駒田常務理事は「住宅が変化してきたのが一因だろう。昔みたいに、戸建てや床の間があるような家は減り、マンション形式のような居住を主とした住宅に変わってきた。そのことにより、人形などは長い間家に置けなくなり、整理する人が増えてきた。それを、ゴミとして捨てる人もいるだろうが、それでは忍びないので供養しようという人も多いということだと思う」と分析している。
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