「孤独を覚える人の脳は『飢餓』と同じ状態にある」。先月、アメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)の脳神経学者が、こんな興味深い研究を発表しました。
孤立状態に置かれた人に、複数の人が一緒に楽しそうに時間を過ごしている写真を見せ、その脳を調べたところ、飢餓状態に置かれた人が、ピザの写真を見たときと同じ特定の脳の部位が活発化したのだそうです。
「『社会的なつながり』は、人間としての根源的なニーズ。『孤立』を余儀なくされた人は、飢えた人が食べ物を渇望するのと同じように、『つながり』を求める」と、この研究者は解説しています。
1人の時間を楽しむ「個独」とは違い、まるで「孤児」のように不安な「絶望的孤独」に恒常的に置かれた場合、人は「精神的な飢餓状態」に陥るというわけです。
「つながること」が難しい時代、社会として抜本的な「孤独対策」に取り組んでいく必要があるわけですが、身近なところで、1人ひとりが実践できる「つながりを作るコミュニケーションの工夫」について、少し紹介しましょう。
ウェブ上では対面より「25%話す量が減る」
最近増えている「ウェブ会議でのやりとり」は、対面と違い、非常に脳に負荷がかかることが知られており、海外でも「Zoom Fatigue(ズーム疲れ)」などと話題になっています。
「ソーシャルキュー(社会的合図)」と言われるボディランゲージのサインなどが、オンライン上では読み取りづらいことや、ちょっとした声のずれなどがストレスの原因とされています。画面上の限られた情報量で必死に相手を理解しようとするので、脳が疲弊してしまうというわけです。
対面ではそれほど気にならない間や沈黙も、リモートでは大きな支障になります。ドイツの研究によれば、「たった1.2秒返事が遅れただけ」で、その人に対する好感度が下がったのだそうです。また、顔を出した場合、画面上で「常に見られている」という感覚も、疲弊感につながります。
ウェブ上でのコミュニケーションは、対面に比べて「25%話す量が減る」という調査もあります。
一時盛り上がったオンライン飲みも、「声が重なり、煩わしい」「話したいことが話せない」などの理由で、やめてしまった人も多いのではないでしょうか。オンラインで関係性を深めるのは、やはり容易ではないということです。
リモートが常態化していくなか、無機質になりがちなオンラインでも心のつながりを作っていくにはどうしたらいいでしょうか。
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