Promotion(コミュニケーション)はどうか。「桃ラー」はロックバンド・怒髪天の増子直純を起用したCMで注目を集め、それもヒットの大きな要因になった。しかし、店頭で品薄となって、「CMを見ても買えない!」という状況を回避するために自粛をしている。現在、増産が追いついてきたようだが、まだ、チャネルによってはまだら模様の状況だ。CM全面解禁にも踏み切れないだろう。エスビーのラー油は22日発売とのことなので、恐らく発売と同時に広告の大量投下が予想される。
規模に勝る企業がその体力を活かして「同質化」を仕掛けるのは戦略の定石だ。このままだと「桃ラー」はエスビーの追い上げでピンチに追い込まれることになる。
但し、FMA(First Movers Advantage:先行者優位)は「桃ラー」にある。ネットを通じてしっかりブランディングができている。比較されても「元祖」を選ぶ消費者も多いはずだ。
価格面での不利はいずれ値下げか増量で調整するとしても、まずは本当に手に入らない「幻の商品」で終わってしまうのではなく、増産を進めて配荷を順調にするのが勝負の土俵に残る条件だろう。ここ、1~2週間が勝負のしどころであることは間違いない。
練りに練った新商品で新たな市場を開拓したとしても、圧倒的規模を持つリーダーに模倣をされたとき、シェアを維持できるのか。対策はどうするのか。新規事業やベンチャー起業に携わる人にとっても、参考になる戦いだろう。
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら