私は今、スコットランドの首都、エディンバラに来ています。せっかくの機会ですので、この地の観光業を見て感じた京都の観光業発展へのヒントについて今週は書き綴ってみたいと思います。
タイムカプセルの町エディンバラ
「アニー・ローリー」「故郷の空」「ロンドンデリーの歌」等々、あまりにも美しいメロディーと詩を民謡に持つスコットランドは、幼い頃からずっと京都の片田舎で生まれ育った私にとって、憧れの国でした。
やっとこの度エディンバラに来ることができました。鉄道ウェイヴァリー駅に降りた途端、目に飛び込んできたのは、岩山に建つエディンバラ城や荘厳なゴシック様式の教会の尖塔、伝説に彩られたアーサー王の丘等で、街全体がタイムカプセルのようです。
想像をはるかに超えたクラシックな雰囲気にまず驚かされました。近代的な高層ビル群からは感じることのできない歴史の重みに圧倒され、物見遊山の気持ちは一瞬にして吹っ飛び、“エディンバラと京都比較の旅”は始まりました。
旧市街全体が博物館
エディンバラ博物館やピープルズ・ストーリーという博物館は、16世紀の建造物を利用したものですが、例えばピープルズ・ストーリーでは18世紀から今日に至るまでの、エディンバラの一般市民の生活史を、人形をふんだんに使って再現してくれています。
昔、この地では貧しい人ほど地下を掘り進んで住み、洞窟のような都市が形成されていました。牛もそこで飼い、その解体場もそこにあり、流れ出る血もそのままで、洞窟の下に住む人ほど、上から流れてくる汚物にも堪えねばなりません。
その劣悪な環境ゆえに伝染病が絶えず、17世紀にその上に建物を建造するときには、その洞窟都市に住む伝染病患者を病ごと生き埋めにしたのだそうです。
その洞窟都市の一つがそのまま発掘され、やはり人形を使って、当時の人々の悲惨な生活をそこで再現しているのがメアリー・キングズ・クローズ。文書で解説を読むより生々しく、当時の貧民街に住んだ人々からの訴えが聞こえてくるようでした。
エディンバラ城では、その要塞のようなお城そのものが観光する者にとっては魅力的なところですが、歴代のスコットランド王の戴冠式で座る「運命の石」も、そこで常時公開されています。
ある時期からイングランドに持っていき、ウェストミンスター寺院で保管されていたそうですが、十数年前にエリザベス女王がスコットランドに返還したのだそうです。これも常時公開です。
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