スケールがケタ違い、CERNに行ってきた

ジュネーブ郊外にある素粒子物理学の総本山

スイスとフランスの国境にまたがって存在する、世界随一の素粒子物理学研究所、CERNでは多くの国際プロジェクトが進められていて、科学者も技術者も世界各国から集まっている。CERNの過去の功績は数限りないが、ひとつに絞るとしたら、ヒッグス粒子の発見だろう。1964年にその存在が予言されていたヒッグス粒子の、予言の約50年後となる2012年の発見に貢献したのがこのCERNという組織であり、LHCという加速器であり、ATLAS、CMSという検出器だ。

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LHCの白い筒にはエンジニア達のサインが書き込まれていた

LHCとは、Large Hadron Colliderすなわち、大型ハドロン加速器だ。どれくらい大型かというと、全周が約26.6キロにもなる。全周およそ35キロのJR山手線に匹敵する大きさだ。山手線では1周に約1時間かかるが、LHCの場合はその距離を粒子がほぼ光速で移動するので、1周にかかる時間は約0.0001秒だ。

LHCは陽子の塊を内回りと外回りで周回させ、最後に衝突させる。陽子の塊(バンチと呼ばれる)は周回上に1380個のバンチが同時に存在する。ひとつのバンチは160億個の陽子でできていて、つまり、周回上には同時に存在する陽子の数は、44兆個だ。バンチ同士の衝突回数は、毎秒2000万回。つまり、0.00000005秒ごとに衝突することになる。

これらはまだ道半ばの数字だ。内回り7TeVと外回り7TeVで合計14TeVという高いエネルギーの陽子をぶつけられる設計のLHCはこれまで、合計で8TeVしか達成していない。現在行っているアップデート後にフルスペックを発揮すれば、同時に存在するバンチの数は1380から2808に跳ね上がる。

地下深くに置かれた大型ハドロン加速器

LHCは地下50メートルから150メートルのところに掘ったトンネル内に設置されている。地下に置いたのは、予算を抑え景観を守り、そして粒子の衝突時に発生する放射線を遮るためだ。ちなみに、抑えたとはいえ建設費用は1兆円近くかかっていて、うち138億5000万円は日本が負担している。建設期間は、トンネル掘削は別として12年間。その成果物を見るには、エレベーターで降りていかないとならない。

下ると、そこにLHCがあった。3.7メートル径のひんやりしたトンネルに佇む様は、荘厳ですらある。LHCは完全な円弧ではなく、直線部分と曲線部分で構成されている。目の前にあるのは直線部分で、ところどころが長さ14.2メートルの青く塗装された金属の筒で覆われている。

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