「週刊ニュース深読み」(NHK)や、「未来世紀ジパング」「137億年の物語」(ともにテレビ東京)などで、司会者が解説に使うオリジナルの模型がある。流動的な国際関係や複雑な最新技術の説明も、動きのあるできのいい模型と一緒だと、理解した気になってくる。その一方で、疑問が浮かんでくる。いったい誰が、あの模型を考え出し作っているのか。それをずっと知りたかった。
東京・神楽坂の住宅街。坂を下る途中の路地を入ったところにある古いビルの1階に、植松淳さんの仕事場がある。ここが、できのいい模型の製造現場なのだ。中に入ってみると、思いの外、整然としている。もっと混沌としているものだと想像していた。
かなり片付いていて、プリンターのインクやカラースプレー、工作用の素材などがきちっと整理されている。書棚には画集や雑誌、DVDに挟まれて、ボクも夢中になって読んだ事件系ノンフィクションが並ぶ。
あの模型たちはどこにあるのかと目で探すと、実は撮影が終わったものは、処分してしまうという。
「作り込みよりは、作る速度、それから捨てやすさを優先しています。結構、壊れやすいですからもう一度使うのは難しいです」と植松さん。
素材は発泡スチロール
それでも、作業台に残されていた聖徳太子やキリストの中から、高さ20センチほどのヘンリー八世像を持ってみると、驚くほど軽い。見た目では分からないが、素材は発泡スチロールだ。
植松さんのほか、若いスタッフが3人いて、そのうちのひとりが手際よく紙をカッターで切り抜いて、人形の服を作っている。核の保有を巡る国際問題を解説する模型だ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら