アメリカ国内では、コロナ感染拡大措置が強化されるでしょう。
バイデン氏は、これが最優先政策だとしています。
トランプ政策は、経済優先というよりは、経済のことしか考えないものでした。
感染拡大防止にまったく無関心という姿勢は、一国の指導者としてはあまりに無責任なものでした。だから、バイデン政権での政策転換は、当然のものです。
そして、これは、科学を信じるということであり、考え方の大きな転換です。
もっとも、実際に感染を早期に封じ込められるかどうかは、定かではありません。
また、経済とのバランスをどうとるかは、極めて難しい問題です。
経済拡大から感染防止に大きく舵を切れば、短期的には経済活動が落ち込むことは避けられないでしょう。
失業率は改善しましたが、依然として7%近い水準です。今後、失業者が増大する可能性がありますが、これにどう対処するかが大問題です。
財政支出も国債発行も金融政策も、すでに限度一杯の状態。金利の上昇圧力も働くでしょう。
アメリカの政策転換は、国際的にも大きな影響を及ぼすでしょう。
日本では、2021年3月期の純利益見通しを上方修正する企業が増えています。とくに、自動車などのグローバル製造業の引き上げが目立ちます。
これには輸出の復活が大きく寄与しています。顕著なのは対中輸出の増加(9月では、対前年比14.0%増)ですが、対米輸出が、対前年比でこれまでの大幅減から、9月には0.6%増に転じたことの影響も見過ごせません。
しかし、アメリカ経済が再び落ち込めば、日本の輸出も自動車を中心として再び落ち込む可能性があります。
これらのことを、株式市場はどう評価するでしょうか?
このように、バイデン政権の成立により、短期的には経済に抑圧効果が働くでしょう。しかし、長期的な発展を持続するには、こうした犠牲が不可欠です。
製造業か、ITハイテク産業か
長期的成長戦略として、製造業を復活させて雇用を増やそうとするのでしょうか? それとも、シリコンバレー的ハイテク産業による成長をめざすのでしょうか?
これについて、トランプ氏の考えは極めて明確でした。シリコンバレーのハイテク企業に対しては敵対的な考えを持つ一方で、ラストベルトを中心とした旧工業地帯に製造業を復活させ、雇用を回復させるとしました。
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