飲酒量は「1週間単位で調整すべき」納得の理由 アルコール度数の高い「ストロング系」は要注意
血圧を上げるものといえば、タバコの右に出るものはないでしょう。その影響はすさまじく、一本吸うだけで上の血圧が20ミリ上がり、とくに朝起きぬけの一本で30ミリもはね上がるというデータがあります。上の血圧が普段140ミリの人なら170ミリになるということです。
この状態は15分以上続き、普段の血圧まで下がるには30分ほどかかります。2本続けて吸えば30分たっても血圧は上がったままです。
このことから、1日に30~40本吸うヘビースモーカーは、おそらく1日中血圧が高いままとなり、血管の壁の劣化が進むと考えられています。実際に、30~70代の日本人910人を対象とする調査を通じて、1日に30本以上吸うグループは、喫煙しないグループとくらべて血管の壁の機能が約2.2倍低下しやすいことが示されています。
また、日本人を対象に19年間行われた別の調査によれば、1日1箱以内の喫煙でも心筋梗塞の発症率が4倍以上、1箱を超えると7.4倍上がり、毎日2箱以上タバコを吸う男性は、まったく吸わない人とくらべて脳血管障害の発症率が約2.2倍高くなりました。
これは飲酒や塩分摂取の影響を受けないように調整したデータなので、喫煙に加えて酒を飲む、塩分も摂取するとなれば、健康に気をつかっている人との差はさらに広がります。
女性は心臓病の危険がさらに増す
とくに女性が喫煙すると、心臓病の危険が男性の喫煙者のさらに25%増しであることもわかっています。おまけに喫煙は女性ホルモンを減少させるため、これによっても血管の壁がもろくなり、肌の老化が進みます。妊娠しているかどうかに関係なく、女性もタバコはやめるべきです。
タバコを吸う人の寿命は吸わない人より平均10年短く、自立して生活できる健康寿命も4.4年短いというデータもあるとなれば、もはや禁煙待ったなしです。
禁煙すれば血管は元どおりになるのでしょうか? タバコを2年以上吸っていて禁煙した男性を対象に、血管の壁の機能を比較した研究があります。すると、検査の数値が正常範囲だった人は禁煙前には約15%しかいなかったのに、禁煙3カ月後には約62%まで増えました。回復力がちゃんと残っていたのです。
また、心筋梗塞を起こした男性およそ900人を対象に行われた調査によると、病気になるまで毎日15本以上吸っていた患者さんのうち、病気をきっかけに禁煙したグループは、その後も喫煙を続けたグループとくらべて、その後3年間に心筋梗塞を再発した人の割合がほぼ半分でした。
別の調査では、禁煙して15年たつと、再発の危険が初めから吸っていなかった人と変わらなくなることが示されています。異なる調査なので単純に比較することはできませんが、喫煙によって心臓の血管が受けた傷は禁煙して3年で半分になり、15年でほぼ完全に癒える可能性があるわけです。
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