飲酒量は「1週間単位で調整すべき」納得の理由 アルコール度数の高い「ストロング系」は要注意

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飲酒量はカレンダーか手帳に書いておくことをおすすめします。「缶ビール2本、ワイン1杯」という具合に簡単にメモしておいて、週に一度か月に一度、先に述べた換算法で日本酒の分量に直します。

たとえば焼酎2合と350ml入りの缶ビール4本なら、それぞれ3合強と3合弱で合計6合程度です。「意外に少なかったな」とか「あれれ、結構飲んじゃったな」と驚きながら、次第に自分で「ここでやめれば今週は大丈夫だろう」と計算できるようになります。

アルコールが分解される過程でできる物質には血管を広げる作用があるため、飲むといっときは血圧が下がります。けれども、この物質はまもなく分解されてしまい、飲み続けるうちに血圧が高くなります。

世界保健機関(WHO)が2016年に実施した調査によると、日本人男性1人が年間に消費するエチルアルコールの量は10.4リットルで、世界86位でした。

大きな傾向として見ると、1人当たりの飲酒量は、かつて東側陣営に属していた国々が軒並み高く、もっとも多かったベラルーシの男性は年に27.5リットル飲んでいます。次に多いのが西欧諸国と韓国で、その次が韓国以外の東アジアと東南アジア、北米諸国です。日本もここに入ります。

そのすぐ下に世界平均値が来て、平均より少ないのがインドと、飲酒が禁止されているイスラム諸国でした。日本人の飲酒量は世界平均より多いとはいえ、飲酒の習慣がないイスラム諸国を除いて考えれば、世界のなかでは少ないほうです。

アジア人の40%は分解する酵素の働きが弱い

それでも安心はできません。アルコールの分解にかかわる酵素の働きには人種差があり、これは生まれ持った遺伝子で決まります。日本人を含む東アジア人は約40%の人でこの酵素の働きが弱く、飲むと有害な作用が出やすいのです。欧米人やアフリカ系の人には、この酵素の働きが弱い人はいません。

アルコールの分解がスムーズに進まないとアセトアルデヒドという毒性物質がたくさん作られて、顔が赤くなる、頭痛がする、心臓がドキドキするなどの症状があらわれます。アセトアルデヒドが神経に働きかけて皮膚の血管を広げ、流れる血液の量を増やすからです。

そのため、顔が赤くなるかどうかを見れば、アルコールを分解する働きが強いか弱いかがある程度判断できます。これを利用して、顔が赤くなるグループと、赤くならないグループに毎日同じ量のアルコールを飲んでもらう実験が韓国で行われました。すると、顔が赤くなるグループは、赤くならないグループの半分の日数で血圧が上がることが判明しました。

他の調査からは、アジア人は、血圧上昇により脳血管障害を発症する危険が欧米人の2倍近く高いという結果が得られています。

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