日本の会社「コロナ後を生き抜く」為の絶対条件 価値観と産業構造の変化をどう受け入れるか

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14世紀に流行したペストは、ローマ教皇の勢力を衰退させ、この時期には「ルネサンス」が起こり、人々の価値観ばかりか社会構造そのものも変えてしまった。当時の欧州の人口の3分の1がペストで亡くなったといわれているから、新型コロナウイルスはそこまで大きなパンデミックを引き起こさないにしても、ワクチンが年末にかけて開発されても経済に与える影響は大きい。

「新自由主義」「グローバリズム」といったこれまでの資本主義社会を支えてきた価値観が変わることになり、産業構造も大きく変化していく可能性がある。パンデミックによって、人々の移動という根源的なものがストップしてしまった。それをリカバリーするためには、大きな変革をしなければ人類は生き残れない、と言っても過言ではないだろう。

業界によってコロナの影響は明暗が分かれた

そもそも今回の新型コロナウイルスの影響で、業界によって「明」と「暗」に大きく分かれることになった。人々の流れがストップしたために、航空業界などの運輸、宿泊業や飲食サービス業、さらにエンターテインメントなどの娯楽産業が大きな影響を受けた。

新型コロナウイルスのパンデミックが収束すれば、こういった事態は解消されてまた元に戻ると思う人も多いが、現在のパンデミックは「気候変動」とも密接な関係があると言われている。今後も、次々と新しい感染症が登場してくる可能性も十分にある。

日本だけの傾向ではないが、最も新型コロナウイルスの影響を受けたのは、やはりサービス産業だったと言っていいだろう。総務省統計局が発表した「サービス産業動向調査」によれば、サービス産業全体の売上高は2020年8月分を見てみると27.2兆円、前年同月比13.0%の減少となっている。一口にサービス産業といっても、情報通信業から飲食サービス業までさまざまだが、同年同月の前年同月比で見ると次のようになっている。

●情報通信業……▲2.5%
●学術研究、専門・技術サービス業……▲3.4%
●医療、福祉……▲4.0%
●サービス業(ほかに分類されないもの)……▲7.0%
●不動産業、物品賃貸業……▲8.8%
●教育、学習支援業……▲12.1%
●運輸業、郵便業……▲21.2%
●生活関連サービス業、娯楽業……▲25.8%
●宿泊業、飲食サービス業……▲ 33.4%
(▲はマイナス)

こうしてみるとやはり宿泊業、飲食サービス業、さらに生活関連サービス業、娯楽業といった業種の落ち込みが激しいことがわかる。

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