日本がデータ活用大国になるための3つの視点

デジタル庁設立をデータ活用の起爆剤とせよ

第2に、“同志国“と連携して、世界のデータ・ルール・メーキングに向けてイニシアチブをとることである。データは国内に閉じたものではない。人々は、今回のコロナ禍で、巣ごもり・リモート生活をする中でますますアメリカを中心としたプラットフォーム企業に頼っている。圧倒的なデータ量を保有するプラットフォーム企業が優位的な地位を乱用していないか、過剰にデータを独占していないか、課題は多い。

もしも中国のような国家主導の監視体制をとれば、国民の行動をも政府が意のままに動かせるという恐ろしさも知った。個人のプライバシーに配慮しながらも自由なデータ流通を目指していかなければならないと民主主義国家の国民は強く感じたに違いない。大国が一方的に規定する秩序形成ではなく、基本的価値観を共有する”同志国(Like-minded countries)“の連携を重視し、ルール・ベースでの秩序形成の環境をつくるルール・シェイパーとしての日本の役割は大きい。

民間と協働し、国民が利便性を感じてこそ

第3に、民間企業と連携し、国民が利便性を感じるサービスに結び付けることである。

今回のコロナ対応では、通信会社から人流データを取得して分析する、LINEの健康状態のデータを分析する、など民間データと活用する試みも行われた。

現在の政府で議論されているIT基本法の改正の政府案「デジタル社会の目指す方向性案(基本原則)」では、「官民連携を基本とし、国は、データ利活用や連携基盤整備等の、多様な国民のニーズに応えるサービス提供に必要な環境整備を行うとともに、行政自らもユーザー視点に立った新しいサービスを提供」するとある。

デジタル庁には、日本のデータインフラの形成、世界におけるデータ・ルール・メーキングの追求という戦略・マクロな視点と、目の前の国民に利便性を提供する利用者・ミクロの視点が求められる。

(向山 淳/アジア・パシフィック・イニシアティブ主任研究員)

(第3回に続く=2020年11月16日配信予定)

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