日本がデータ活用大国になるための3つの視点

デジタル庁設立をデータ活用の起爆剤とせよ

一方、グーグルは、各国政府などがコロナ対策に使用できるよう、各国の小売店や商業施設、公園、公共交通機関、職場、住居などの、地理的な移動状況を時間の経過で図示する匿名で収集された分析データを「COVID-19:コミュニティモビリティレポート」として提供した。

民主主義の国々は次のような悩みに直面した。政策目的を達成するためにデータは有効だが、監視国家とは一線を画するため一定のルールが必要だ。しかしEUのGeneral Data Protection Regulation(一般データ保護規則、GDPR)のような厳しすぎる個人承諾の考え方はイノベーションを阻害するかもしれない。

多くの民主主義国では現実として民間のプラットフォーマーが圧倒的にユーザーのデータを保有している。彼らをどう規制し折り合いをつければいいのか。世界は、「データは次の石油だ」と理念的に語り合うフェーズから、その付加価値について実感を持って活用する段階に入ったのと同時に、データのガバナンスは最も難しく重要なグローバル課題の1つとなった。

日本のリーダーシップとデータをめぐる現実

その中で、日本はどのようなゲームで臨もうとしているのだろうか。

安倍晋三前首相は、2019年の世界経済フォーラム年次総会で「成長のエンジンは、思うにつけもはやガソリンによってではなく、ますますもってデジタル・データで回っているのです」と高らかに宣言した。その際、「Data Free Flow with Trust(信頼性のある自由なデータ流通、DFFT)」を提唱、G20大阪サミットにおいては、関係国・地域や国際機関等と協力して、データ流通や電子商取引に関する国際的なルール作りをWTOの元で行う「大阪トラック」というプロセスを立ち上げた。

基本理念は、「個人情報や重要産業データを適切に保護し、プライバシーやセキュリティーに関する信頼を確保していきながら、自由なデータ流通を促進する国際的な枠組みの形成を目指す」というものである。GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)のような民間プラットフォーマーがデータを持ちその主役となっているアメリカ、官民問わず国家がデータを一元管理する中国、そしてGDPRという個人の権利を中心としたルール作りを行ったEUとは一味違う差別化を試みたのである。

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