迷惑メールでなくとも、さまざまな連絡が殺到して、処理しきれなくなるのを恐れているのでしょう。
そこで、連絡する手間をかけさせるために、電話かFAXしか許さないのかもしれません。
しかし、電話でも迷惑電話はあります(実際、私の家の固定電話にかかってくる通話の大部分は迷惑電話です。頻繁に行う電話連絡は、携帯電話に移行してしまったからです)。
それとも、私の評価が間違いで、実は、メールよりFAXのほうが優れているのでしょうか?
FAXでは到達確認ができるとか、送信履歴が保存されるため、信頼性が高いと言われることがあります。
しかし、メールでも送信ができなかったときはわかりますし、履歴も保存されます。「FAXのほうが信頼性は高い」とは、まったく理解できない意見です。
また、高齢者や、ITリテラシーが低い人、IT機器が整っていない事務所ではメールを使いにくい、と指摘されることもあります。確かにそうかもしれません。
しかし、ここで指摘しているのは、「電話やFAXをやめよ」ということではありません。「電話やFAXでしか連絡ができないのは困る」と言っているのです。
実態は、日本の事務体制の深刻な遅れ
このように考えると、事態は単純に、「メールを用いる事務体制ができていない」ということであろうと思われます。
メールは個人では使っているが、それを組織として用いる仕組みになっていないのでしょう。
そうだとすれば、それは日本の事務体制の深刻な遅れということになります。
そして、これが、日本の生産性が低い基本的な理由になっていると考えられます。
日本の労働生産性は、国際的に見て非常に低い水準にあります。OECDの統計によると、OECD諸国平均よりはるかに低く、最低グループの一員です。
とくに、サービス業での生産性が低くなっています。
こうなる明白な理由は、デジタルで処理すべき情報を、電話、紙、FAXで扱っていることです。
メールなら一瞬で済んでしまうことを、電話で5分も10分も話しています。世界中の人々が一瞬で済ませていることに、日本人は5分、10分の労働力を使っているのです。
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