いまだに「紙とはんこ」を使い続ける会社の特徴

ほとんどの書類はデジタル化可能なのに

日本で紙とはんこが必要なくなる日は来るのでしょうか(写真:uusan/PIXTA)

先の内閣改造でIT担当相となった竹本直一氏。9月12日の就任記者会見では、印鑑とデジタル化について「共栄のため知恵をしぼる」と述べ、両立させていく考えを示しました。さらには、「印鑑をデジタルで全部処理できないかという話があるが、印鑑を生業とする人たちにとっては、死活問題だから待ってくれ、という話になっている」とも述べています。

「ん?はんことデジタルの両立?」「印鑑業界が死活問題?」何のことはない、竹本IT大臣は「日本の印章制度・文化を守る議員連盟」(通称・はんこ議連)の会長を務めておられる。

一方、38歳の天才プログラマーをIT担当政府委員にしている台湾との比較も相まって、先の発言は「IT担当相としてどうなの?」「デジタル法の可決により日本はデジタル国家になっていくのではなかったの?」と話題になったことは、ご存じのとおりです。

デジタル化の流れは20年前から

さて、日本では2019年5月24日、デジタルファースト法が参院本会議で可決・成立しました。従来の紙やはんこによる行政手続きと決別するものですが、この動きに呼応してビジネス文書の「電子化・ペーパーレス化」(以下、デジタル化)の規制緩和も急速に進んでいます。

日本がデジタル化に踏み出したのは今から約20年前。1998年に、会計帳簿やその根拠となる証憑類(しょうひょうるい)を電子データとして保存することを認める電子帳簿保存法が施行されたのが最初です。そこから、2001年には電子署名法、2005年のe-文書法の施行により、251の法規制を本法の改訂なく横串しでデジタル保存を可能になりました。

また、電子帳簿保存法のスキャナ保存制度に関しては、2016年、2017年の規制緩和に続いて、2019年も領収書、請求書、契約書など、重要な国税関係書類を過去にさかのぼってデジタル保存を可能にするなど緩和の流れが加速しています。日本の労働生産性の絶望的な低さ、顕在化しつつある少子高齢化の影響を鑑みれば当然の流れでしょう。

こうした中、冒頭の竹中IT担当相のような、既得権益を主張する業者や組合を守るための発言、行動は、健全な経済活動の妨害になることがほとんどです。多かれ少なかれそのような動きの中で少しずつ経済は発展していくものではありますが、今回のデジタル化は喫緊の課題であり、日本の今後の行く末を決すると言っても過言ではないものなのです。

次ページ実際、どのくらいデジタル化が可能なのか
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