24時間ジム「エニタイム」コロナ禍でも強気の訳 国内運営会社トップに聞く勝ち残り戦略

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――すでに地方の店舗も相当数に上ります。さすがに出店余地が乏しくなってきたのでは?

私自身も2年ぐらい前までは、24時間ジム業態の市場規模は国内で2000店ぐらいが上限と考えていた。他社の店舗を含めると、すでにそのくらいの数にはなっているが、まだ飽和はしていない。今はこの業態の市場規模が最大で4000店ぐらいにまで広がると見ており、そのうち少なくとも半分をエニタイムがとりたい。

――そこまでの出店余地があると考える根拠は?

この業態が地方の小さな商圏でも十分成立することがわかってきたからだ。例えば、9月に山形酒田市(人口約10万人)で開業した直営店舗は、開業時に会員が1047人も集まった。これはエニタイムの世界中の店舗の中で、開業時の会員数としては2番目の記録だ。日本の地方で、しかもこの時期にこれほどの会員が集まってくれたことは、大きな自信になった。まだまだ地方には大きな潜在マーケットがある。

加えて、首都圏での出店環境にも変化が出ている。この2、3年は首都圏でいいテナント物件を押さえるのが難しかったが、コロナの影響で飲食店などの閉店・退去が相次ぎ、駅周辺で24時間ジムに適した80〜90坪の物件が空き始めている。新築物件にしてもテナントが埋まらず、入居の誘いが多く舞い込んでいる。

賃料が高い首都圏での開業には、ざっと1億円ぐらいの初期投資がかかる。それでも人口の多い首都圏でシェアをさらに拡大する絶好のチャンスなので、ここはマックスベット(最大限に資金をつぎ込む)で行く。当社は資金的な余裕がある(2019年末時点のグループ保有現預金は約40億円)し、取引金融機関はいつでも貸すと言ってくれているので、直営メインでどんどん出してもいい。いい物件があれば、積極果敢に押さえに行く。

24時間ジムの淘汰・再編

――エニタイムの成功を見て、異業種からの参入が相次ぎ、今や似たような24時間営業の小型ジムがあちこちにあります。こうした状況は今後どうなると見ていますか。

日本でマシンに特化した24時間営業ジムの市場を創出したのはエニタイムであり、消費者もちゃんとそのことをわかってくれている。形だけ真似た後発組が雨後の筍のように出てきたが、知名度やブランド力があるわけではないので、結局は安い料金設定で訴求しているのが現実だ。

つちや・あつゆき/1991年大学卒業後、野村不動産で新規のフィットネスクラブ「メガロス」事業に従事。退社後にFast Fitness Japanで「エニタイムフィットネス」の国内展開に携わり、2017年に社長就任(写真:Fast Fitness Japan)

そこにコロナ影響が重なって会員数が大幅に減り、各店舗の経営状況はかなり厳しくなっているはず。現に後発組は出店ペースも落ちていて、最近はいいテナント物件が出ても競合することがめっきり減った。おそらく来年ぐらいには、そうした中から立ち行かなくなる店舗が出てきて、24時間ジム業態での淘汰・再編が進み始めるだろう。

――FFJは東証マザーズへの新規上場を認められましたが、今年3月にコロナを理由にIPOを撤回しました。

 当時はコロナの感染が拡大し始め、スポーツクラブやジムでの感染リスクがクローズアップされた時期。われわれの業態が総合型のフィットネスクラブと同一視される風潮だったので、株価への影響などを考えて、上場を延期すべきだと判断した。いつかは明言できないが、幹事証券会社の意見も聞いたうえで、できるだけ早いタイミングで再申請したいとは考えている。

渡辺 清治 東洋経済 記者
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