激変!大学入試「オンライン面接」攻略するコツ コロナショックでの変更に戸惑う受験生へ
A. これは大学のスタンスによりますが、画面共有機能や小道具を用いるという工夫もありうるかもしれません。例えば、パワーポイントを用いながら志望理由を語ってみたり、ホワイトボード機能を使って図を描きながら説明したり、自分がつくったポスターを見せながら解説したり、作品のポートフォリオを共有したり、競技の動画を見せたりする、といったことが考えられます。
今までの面接と比べて、表現方法が一気に多様になりました。そうした機能の使用を禁止する大学もあるかと思いますが、認めてくれる大学であれば積極的にプレゼンテーションを行うのもよいかと思っています。
個人的には、そうした面接が増えることは、受験生を多面的に捉えるという側面で好意的に捉えています。今までは対人的能力や言語能力が高い受験生に有利だった面接試験でしたが、表現方法が多様化することによって、多くの才能をすくい上げることができるということです。たとえ口下手であっても、作品1つで説得できることもあるでしょう。言葉で表現することが難しくとも、パフォーマンスでその意図を伝えることもできます。自分の内省の様子を資料で表現することも可能です。
また、こうした表現をきっかけにして、受験生と面接官の対話を促すこともできるようになります。今までの面接では、聞かれたことに答えるという側面が強かったわけですが、表現したものを材料にしながら、学問への興味や関心のあり方を対話で探り、ときに構築することができるかもしれません。このように学び手と教員がともに対話できる面接は有意義なものですし、オンライン面接がそういう世界観をつくる1つの契機になるのではないかと思っています。
受験生の才能がすくわれる大学入試を期待する
総合型・学校推薦型選抜では、さまざまな材料をもとに、多面的に受験生を選抜することになります。大学入試は研究者コミュニティ加入のイニシエーションですから、受験生と対話を行う選抜方法としてオンライン面接を活用するというのも、1つの方向性としてはありうるのではないかと思います。
もちろん、オンライン面接の実施は受験生にとって不安の要素となるのは私も理解しています。ただ、1つずつ問題をクリアにしていけば恐れるものではないし、大学側も最大限の配慮をしてくれるでしょう。また、オンライン面接は受験生が持つ才能をこれまで以上にすくい上げることができる可能性を秘めています。
また、テストの得点で合否判定するほうが公平で平等だから、そもそもそうした面接官の主観に委ねるような面接試験ではなく、一般選抜のほうが優れているという主張があることも理解しています。一方で、一般選抜で問われる力は大学で学問を行う力と必ずしも結び付くものではないという課題があること、大学で学問と向き合うにあたり大切な「学びへの意思」や「個々の受験生の才能」を見抜くことが難しいという側面は否定できません。
そう考えると、オンライン面接によって大学入試の本来的な機能が発揮されるようになるかもしれません。キャピタリズム(カネ)からタレンティズム(ヒト)の時代に移行する時代ですし、豊かな才能の持ち主である受験生一人ひとりの豊かな才能がすくい上げられる世界になることを期待しています。そして、そうした学問に対して誠実に向き合う受験生の合格を心より祈っています。
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