野球の競技人口減「ボーイズリーグ」の危機感 コロナ禍がプロ選手を多数輩出の組織に影響

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小学生の競技人口の減少は、そのまま中学につながっていく。もちろん中学から硬式野球を始める子どもも多いが、ボーイズリーグも安泰とは言えなくなってきた。

7年前の2013年と比較して、2019年は中学生は4.8%の減少だが、小学生は31%も減少している。中には支部が維持できなくなっている地域もある。

コロナ禍はボーイズリーグにも深刻な影響をもたらした。4月7日に緊急事態宣言を発出してからは、すべての活動が停止となる。解除後には徐々に活動を再開したが、感染症対策を施す中での試合や練習であり、限定的だ。

中谷新会長が背負うもの

こうした状況下、ボーイズリーグは4月に藤田英輝会長が退任し、中谷恭典専務理事が会長に就任した。

中谷恭典会長(写真:筆者撮影)

「うちの息子が藤井寺ボーイズというチームにお世話になったことがきっかけで関わりができました。ボーイズは親御さんがチームや支部、連盟のお手伝いをしてくださることでやってきましたが、子どもさんが卒団すると親御さんも辞められることが多いんです。

私の場合、息子が入ったボーイズのチームで監督がいなくなって草野球並みの運営になったので、これではいけないと監督代行を引き受けたのがきっかけです。もう20年くらい前ですが。

チームの代表になって私は不思議な組織だなと思いました。親たちには何の利害関係もないんです。ただ子どもがお世話になっているというだけで、組織運営をしている。それはいいことではあるけども、組織としては一番軟弱な部分でもある。アスリートを育てる方がいて、きっちりコーチングできないといけない。親御さんの善意に頼る組織は難しくなるだろうと思いました。

問題はチームの卒団生がなかなかチームに帰ってこなくなっていること。かつては大学、社会人、プロに進んだOBがボーイズに戻って指導をすることで伝統や強みが継承されたのですが、今はそれが薄れている。終身雇用が薄れて大人たちがあちこちへ移動するようになったことや、経済的なゆとりがなくなったことも大きいのではないでしょうか」

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