四国ILでも最もユニークな存在が、高知ファイティングドッグスだ。球団副社長の北古味潤は語る。
「うちは高知県の山間部にある越知町に本拠地、宿舎があります。自粛期間中は、とにかく外を出歩くなと言いました。山村はお年寄りばかりです。まかり間違って感染拡大させたら大変なことになりますから」
高知ファイティングドッグスが活動を再開したのは緊急事態宣言後のことだ。スポンサーは例年の3分の1程度にまで減った。
「営業で会社を回れば、“お前、空気読んでるのか”という感じでした。球団も個人事業主である選手は持続化給付金を申請しました」(北古味氏)
地域のスポーツ事業へ進出
6月にチームの運営体制も大きく変わり、球団運営を新会社である「高知犬」が担うことになった。社長には武政重和が就任した。武政は2014年まで高知ファイティングドッグスの社長を務めたのちに、サッカー高知ユナイテッドSCの社長になった。
「サッカー側の了承を得て、私がサッカーと野球、両運営会社の社長になりました。事務所も統合し、スタッフも両方の仕事をします。スポンサー、チケット、イベント、2つの会社では同じ言葉が飛び交っています。集約させることで相乗効果を生むのが私の役割です」(武政氏)
北古味も引き続き経営陣の一人として、これまで培ってきた地域貢献や海外事業を手掛けている。今年になって、高知ファイティングドッグスは高知県が主催する「高知県パスウェイシステム事業『高知くろしおキッズ・高知くろしおジュニア』」を受託した。
これは高知県から優秀なアスリートを輩出するため、子どものスポーツ教室を県内各地で行う事業だ。これまで県内各地、海外で野球教室、スポーツ教室を行ってきた実績が評価された。北古味は話す。
「野球とサッカー、県を代表する2つのスポーツチームが子どもたちをバックアップします。こういう形でさらに地域貢献していきたいですね」
高知は野球を核として、地域のスポーツ事業に進出することで活路を見出そうとしているのだ。
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