コロナ危機でデジタル化の未来が見えてきた

野村総研の此本臣吾社長が語る課題と期待

――コロナをきっかけにデジタルサービスが大きく拡大するのでしょうか。

コロナは災いではあるが、リーマンショックのような経済的なクラッシュとは違って、今回は新たな需要が出ていることが特徴だ。まずは、テレワークの導入で長い通勤時間が減って可処分時間が増えるなどのメリットを実感した。計算してみると、可処分時間は日本全体で1日当たり370万時間も生まれた。その大半は家族と過ごす時間で幸福度が高まった。それだけではなく、増えた時間をどう過ごすか、新たな収益性の高いビジネスが生まれていることに注目している。

例えば、任天堂のゲーム「あつまれ どうぶつの森」のヒット。ECもものすごく伸びている。サザンオールスターズの横浜アリーナで開いた無観客のオンラインコンサートは50万人が視聴した。18万人は有料で視聴し、7億円近い売り上げとなった。オンライン配信の場合、限界費用はほぼゼロだから、リアルなライブでアリーナを満席にするよりも圧倒的に収益性が高い。今後は賃料や警備員の費用などもかからない、こうしたライブが増えるだろう。

「限界費用ゼロ」で多様なサービスが生まれる

――リアルなライブか可能になっても、バーチャルなサービスも併存しますか。

定着していくと思う。遠方から出かけなくても、VRヘッドセットなどで臨場感がほとんど変わらなくなるなど、エンタメ業界にはどんどんイノベーションが生まれると思う。ECもそうだろうし、リーマンショックのときはいったんクラッシュして、あとは元に戻るだけだったけれど、新たな収益性の高いビジネスモデルが出てくる。ジェレミー・リフキンの語るような限界費用ゼロの世界だ。オンラインと行動変容の2つが今回、大きな変化をもたらした。

――今まで言われていたけれども進まなかったことが一気に進んだ。

産業構造だけでなく業界構造も変わる。ドラッグストアの決算を見ていると、都市型で店舗を展開しているココカラファインとかマツモトキヨシホールディングスなどが大幅減収で、郊外型のウェルシアホールディングスが大幅増収になった。4~6月の企業業績の動きを調べると、これから起きること、未来が透けて見えてくる。

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