コロナ危機でデジタル化の未来が見えてきた

野村総研の此本臣吾社長が語る課題と期待

――マイナンバーには拒否反応がある一方で、GAFAにかなりの情報を握られているという現実があります。コロナ禍ではグーグル社のモビリティレポートが話題になりました。

本来は個人情報を公共財として扱うことが必要だが、テクノロジーの発展ということを考えると、(商用利用に関しても)メリットのほうが、弊害よりも大きいのではないか。巨大資本とデジタルテクノロジーを持ったグーグルのような会社が、次から次へと便利なサービスを出していくことで、少し前までは考えられなかったようなことが実現できている。

変な形で規制するよりも、自由にさせるほうがいい。ただ、不正競争防止法の観点から、寡占になって問題が起きることは防がなければならない。ECで出品者からみかじめ料をとるといったような問題については、プラットフォーマーの行動に目を光らせる必要はある。

バランスが重要で、すべてを規制の対象にするとDX(デジタルトランスフォーメーション)の発展が制約を受けてしまう。中国は国策によって民意を気にせずデータを収集していろんなことが実現されているのは事実だ。そこまでするかは別にして、ある程度のデータは資本力や開発力があるところが自由に使える環境にしたほうが発展する。

「情報銀行」が仲介、付加価値を付けられるか

――個人は情報を提供することで、便利なサービスが受けられ、消費者余剰(消費者が得る満足度)も増える一方、サービスを提供するGAFAはそれによって巨額な利益を得ています。その情報は本来、誰のものかという問題があります。

情報提供する側に対価が支払われるのが当たり前の姿だが、消費者余剰と引き換えに、消費者の側も「まあいいか」と容認している状態だ。しかし、消費者余剰はその便利さに慣れると消えてしまう。新しいサービスが出てこなくなって、停滞してくると、対価が欲しいという議論が出てくるのではないか。

1つの考え方が情報銀行を作るというものだ。銀行がお金を預かるように、情報を預かってプラットフォーマーに提供し、その対価を個人に支払うという形がいずれは成り立つかもしれない。ただ、なかなかそういうサービスが立ち上がらないのは、情報銀行自体が情報に付加価値を付けないとビジネスとして成り立たないからだ。

金融は情報活用のリターンが大きいので、ゴールドマン・サックスなどはデータ分析会社、情報銀行になるという世界を作ろうとしている。どういうデータを集めて、どう加工すると対価をもらえるのかという企画、プランニングするノウハウが重要になってくる。

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