起業家教育のプロが伝授する「思考と実践術」 誰でもすぐに応用できる「起業の3大原則」とは
日本人はなぜそこまで失敗を恐れるのか。やはり恥の文化が背景にあると思います。日本人は他人の目を気にして、とにかく恥をかきたくない、格好悪いと思われたくないんですね。
こうした姿勢は創造性を阻害します。ある研究によると、創造性の阻害要因は2つに集約される。ひとつは失敗を恐れる姿勢、もうひとつは他人からけなされたくないという姿勢です。日本人は特に後者の姿勢が強いと言われています。
「まず一歩踏み出せ」
現在は変化が激しく先行きが不透明な時代です。過去の延長上に成功があるわけではありません。平均であれば安泰なわけではない。日本の学生に「あなたは平均でいたいですか」と聞くと、多くは否定的な答えが返ってくる。ですが一方で、まだ日本では、メインストリームから外れることに抵抗感のある人が多い。
日本人はとても教育レベルが高い。ですが、自分で自分を制約してしまっているように見えます。そういう人たちに対して、私は「まず一歩踏み出せ」と言いたい。先行きが不透明な時代、一歩踏み出した人たちにはすごいチャンスがあるんです。
勇気を持って、一歩踏み出してみる。次に、「一歩踏み外し」て失敗してみる。そしてその先に、違ったものの見方を学び、自分の世界を変えて「一歩はみ出す」。はみ出した人こそ、大胆なことができるものです。
若いときから少しずつはみ出してみる。そして失敗からたくさん学び、「失敗の成功例」をどんどん増やしてほしいですね。
――今月、虎ノ門ヒルズビジネスタワーに、ベンチャーやイノベーションに特化したオフィス「CIC」が開業しました。山川さんは実質的な日本側の責任者として、プロジェクトの当初からかかわりました。
まさにゼロからのスタートでした。まず2018年3月、CICの姉妹組織である「ベンチャーカフェ」を立ち上げ、毎週木曜日、起業やイノベーションについて議論し合うコミュニティーを作りました。ベンチャーカフェは企業や大学などからの寄付で成り立つ非営利組織で、誰でも無料で参加できます。これまで120回のイベントを行い、延べ3万人を動員しました。
ベンチャーカフェを立ち上げる前に、ボストンの幹部からは「日本企業の賛同は得ている」と言われていたのですが、実際は資金の手当てはまったくついていませんでした。企業からすれば、理念に賛同しても、カネを出すかは別問題ですよね。結局、僕が日本に乗りこみ、直接交渉しました。
寄付は少しずつ増えましたけど、継続してもらうには、ベンチャーカフェ自体を進化させないといけない。今年6月には茨城県つくば市と愛知県名古屋市と連携して交流プログラムを開始しました。今後もイベント企画を含めて、進化させていきます。
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