起業家教育のプロが伝授する「思考と実践術」 誰でもすぐに応用できる「起業の3大原則」とは

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そのうえに世界中にある問題をかぶせます。世界の大問題でも、身近な問題でもいい。たとえば世界中から貧困をなくしたいということでもいいし、日常の買い物で小銭が多すぎて困るといったことでもいい。大事なのは、それが本当に情熱を持って取り組める問題かどうかです。

自分のDesireと問題が連携すればしめたもの。あとは実践あるのみです。

まず「行動ありき」。何事も行動しなければ始まりません。次に「失敗ありき」。失敗は必然です。前もってどこまでの失敗なら許容できるかを決めておきます。そして「人を巻き込む」。問題が大きいほど、1人では解決できません。これらを「起業の3大原則」といいます。

行動して、フィードバックを得て、何かを学び、それをビルドする。そしてDesireに戻り「これって、自分のやりたいことだっけ?」と考えて、軌道修正して、動いて学ぶ。起業のプロセスは、この繰り返しです。

こうしたことって、学生さんでも主婦のみなさんでも実践できると思うんです。学校のクラブ活動で起きたことの解決にも、日常の何気ない問題の解決にも、応用できる行動法則です。もちろん、ビジネスパーソンの日々の業務にも大いに役立ちます。

日本人は世界で最も「失敗を恐れる」

――日本人は起業に関する意識が低いという調査があるそうですね。

世界最大の起業に関する統計レポートであるグローバル・アントレプレナーシップ・モニター(GEM)によると、1999年の統計開始以来、日本の起業指標は世界で最低水準です。

たとえば起業活動率(人口に占める起業活動をしている人の割合)はイタリアやフランスなどと並び最低水準ですし、起業機会の認識が少なく、起業に対する自信も低い。何より「失敗に対する恐怖」が世界ワーストです。

山川恭弘(やまかわ・やすひろ)/バブソン大学アントレプレナーシップ准教授。東京大学教授。ベンチャーカフェ東京代表理事。CICジャパンプレジデント。慶応大学法学部卒業。ピーター・ドラッカー経営大学院にて経営学修士課程(MBA)修了。テキサス州立大学ダラス校にて国際経営学博士号(Ph.D.)取得。バブソン大学では起業道・失敗学・経営戦略を教える(写真:山川氏提供)

新型コロナ禍でも日本人のこうした姿勢は顕著だったと思います。「まあそうは言っても、誰かが解決してくれる」、企業経営についても「一部の人がやっている」という感覚が拭えない。事が終わるまで何とか潜んでいよう、隠れていようという人が多かったように思います。

一方で「自分でできることをやろう」と考えるのが欧米型です。企業もすぐにマスクを作ったり、フェイスシールドを作ったりする。出来はひどいんですよ(笑)。でも、とにかくやってみるんです。学生もそうですね。自分事であるととらえ、行動に移す人が多かった。

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