子どもの邪魔になる「教育熱心な親」5つの盲点 親はなぜ「わが子の評価」を誤ってしまうのか?

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このような話を聞いた人は、その子へのイメージが固定化し、無意識のうちに言動に表れる可能性もあるでしょう。

このようにして、限られたイメージで、その子の全体を評価してしまうというエラーが起こるのです。これがわが子に対して起こることが少なからずあります。「うちの子はダメなんだ」との極端な決めつけにつながり、親のイライラの原因になることもあります。

(2)中央化傾向(平均化傾向)によるエラー

人を評価するとき、評価者は中央を選択してしまうという心理的傾向があります。値段が高い商品、平均的商品、低い商品と3種類あるとしましょう。すると、人は平均的な中間を選択する傾向にあるということです。これを中央化傾向といいます。

これを子育ての悩みに置き換えると、平均との乖離に注目して、子どもを評価してしまう可能性があることが考えられます。例えば、「10歳の子どもの平均身長、平均体重はこれくらいですよ」と言われると、そこからとくに下に外れていると心配する人がいます。平均とはあくまでも全体のばらつきの中央値というだけであるにもかかわらず、外れると急に心配になってしまうのです。

勉強においても同様です。苦手科目があるとそれを引き上げて平均レベルにしたいという親の心理が働き、子どもの苦手を克服させようとします。人を伸ばす原則は「得意をさらに伸ばす」なのですが、苦手な部分をしつこく指摘して修正させようとします。

「みなさん、されていますよ」と言われると、やっていない自分が急に心配になる、日本人にありがちな傾向かもしれません。

自己肯定感が低い子どもになる可能性がある

(3)厳格化傾向によるエラー

これはわかりやすいでしょう。つねにダメ出しをしていく傾向のことです。これをやってしまうと正しく評価ができません。例えば、子どもが算数のテストで90点をとったら、「あと10点どうしたの? ちゃんと計算の見直しやったの?」と言ってしまう人はこの傾向が強いでしょう。

筆者がこれまで受けてきた相談では、この傾向は圧倒的に父親側に多くみられました。その中でも、父親が難関中学出身であったり、学歴が高かったりする場合は、とくに高頻度でした。

もちろん、高学歴の父親がみな、そうした厳格化傾向になるわけではありません。相談内容に共通する点として、そのような傾向があったということです。

厳格化傾向の親に育てられると、たたき上げの強い人間になる可能性もありますが、自己肯定感が低い子どもになる可能性もあるため、注意が必要です。

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