東京ゲームショウ、「オンライン開催」の功罪 PS5投入や巣ごもり消費で年末商戦の行方は?
さらなる追い風となるのが次世代型ゲーム機の投入だ。今回の東京ゲームショウ2020に先立ち、9月中旬には、新型機の詳細が発表されている。ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は7年ぶりの家庭用ゲーム機の新型機「プレイステーション5(PS5)」を11月12日に発売するほか、マイクロソフトからも「Xbox」の新型機が11月10日に発売される予定だ。
特に注目が集まるのはPS5だ。その価格はディスクドライブがある通常版4万9980円、ディスクドライブがないデジタル・エディションは3万9980円。8K対応の超高精細映像や、コントローラーの振動の種類を増やし触覚を多彩に表現。読み込み速度の速いSSD(ソリッドステートドライブ・半導体メモリを用いた記憶装置)の搭載によりゲーム中のロード時間を大幅に短縮したスペックの高さが特長となっている。
「いずれの新型機も値ごろ感のある価格帯で、多くのユーザーに受け入れられるのではないか」(松田社長)というように、その性能に対し、ユーザーの予想を下回る低価格だったようだ。実際、初回出荷分からほとんどが抽選販売となり、PS5は入手困難な状況だ。
オンライン開催ゆえの懸念も
こうした動きもあり、各メーカーにとって今回の東京ゲームショウは例年になく重要な機会だった。実際、大手メーカーを中心にPS5やXboxシリーズXといった新型機対応の新作ソフトが多数発表された。
しかし、リアルに見ることや体験できなかったことは、年末商戦期の新作ソフト販売動向に影響を与えそうだ。ダウンロード販売が拡大し、実際に手に取る機会が減る中で、その新作ソフトや遊び方を認知しているかどうかは1つの分岐点になるからだ。
例えば、スクエニHDではPS4やPS5対応の新作シューティングゲーム「OUTRIDERS」の発売を今冬予定しているが、開催期間中に自社が配信した番組で社長自ら新作ソフトをプレイする模様を放映するなど、認知拡大を狙う取り組みを行った。ただ、例年のゲームショウのように実際のユーザーからの声を得ることや、口コミ効果が難しいことは懸念材料の1つだ。
ここ数年、無料でも遊べるスマホゲームが席巻していたゲーム業界だが、巣ごもり消費拡大に伴い、任天堂やSIEだけでなく、スクエニHDのようなゲームソフトメーカーにとっても家庭用ゲーム機向けの需要は大きく伸びた。その勢いを維持しつつ、さらに売り上げを拡大できるかは各社共通の課題だ。
本来、東京ゲームショウは多くのユーザーが新作ソフトにリアルな場で触れることで、販売促進にも重要な意義があった。新作ソフトを積極的に展開するリアルな場が提供できなかったことで、各メーカーはもどかしさを感じているだろう。対面でのコミュニケーションが難しい中で、新作ソフトを認知してもらうための各社のマーケティング戦略が大きなカギとなりそうだ。
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