最強の人が持つ、ハングリーで愚かなプラス思考 他人の価値基準で生きる人生の限界

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試練は人生の守備範囲を広めてくれる

次に自分自身をコントロールしたり、すぐにマイナス思考になってしまう問題についての私の考えです。私ごとになりますが、ある時期にとても大きな試練にぶつかったことが、かなりこれらの問題の解決に役立ちました。

その克服には私の能力を超える仕事の質と量をこなさねばならず、またそれをやり遂げたからといって、解決が約束されていたわけではありませんでした。

ちょうど荒れた大海原で沈没船に乗って仕事をしているような不安の中で、とりあえずその仕事をこなすよりほかはなく、精神的にとてもきつい時期でした。結果的には数年かかってそれは克服できたのですが、今、振り返っても私が当時、こなした仕事は、よくぞやり遂げたものだと自画自賛できるほどのものです。

世の中の経験で無駄なことはひとつもないと言いますが、それ以降、私の思考回路に大きな変化がありました。それ以前なら随分不満に感じたに違いないこと、怒りの対象になること、これは難しい、あるいは面倒だと思う仕事等々が、「あの試練に比べたら」と置き換える思考回路ができて、大概は何でもなくなったのです。

「もしあの試練が克服できていなかったら」を基準にすると、克服できたことに対する感謝が大きく、少々の不愉快なことにもマイナス気分になりません。どんなに面倒と思われる仕事や用事ができても、新たに得た思考回路に戻すと簡単な仕事だと判断がつき、不安感やいらだつ回数がぐんと減ったのです。

そして自身に心の余裕ができますと、他者にもより寛大になれて、昔なら腹を立てていただろうことにも多角的に他者をみることができ、距離の取り方がうまくなったり、自ら顧みたり、反省したり、自身の過ちを認めて詫びることにもやぶさかではなくなります。

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