私が起業を決意した同僚の「ある一言」

Origamiの康井義貴CEOと語る(上)

「なにをすべきか」ではなく「どう考えるか」――。
 今回の対談相手は、連載筆者である伊佐山元氏の前職ベンチャーキャピタルDCM時代の部下で、現在はスマートフォン向けのモバイルEC(電子商取引)プラットフォーム「Origami(オリガミ)」を展開するOrigamiの康井義貴CEO。
 康井氏は、「伊勢丹、ビームスも惚れた27歳の“超新星”」とのタイトルで以前も「新世代50人」に登場するなど、20代の若手気鋭の経営者だ。今年4月のサービス開始にあたり、KDDIのベンチャーファンドとデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)から合計5億円の出資を受け、10月には三越伊勢丹との業務提携など、スタートアップ業界では異例のスタートを切っている。康井氏の起業したきっかけや日本で起業した理由を聞きながら、「起業の本質」をテーマに2人に語ってもらった。

きっかけをくれた「YOLO(ヨーロー)」という言葉

伊佐山元(以下、伊佐山):ヨッシー(康井氏の呼び名)は、僕の前職であるシリコンバレーのベンチャーキャピタル(VC)のDCM時代に、日本で展開するときに雇った部下のひとり。いわゆる「外資の日本進出」ではあるのですが、“ガイジン目線”ではなく、日本のことをよくわかったうえで、グローバルなアプローチもできる人材という難しい条件に当てはまったのが、ヨッシーでした。

シリコンバレーのVCは、基本的には若い人を日本のようには長期雇用せず、2~3年訓練させ、投資先の経営や起業家として外に出て行ってもらうことが一般的です。それを合意のうえでDCMに就職したヨッシーからすると、2~3年間、目いっぱいシリコンバレーのベンチャーの仕組みを勉強して、どこかで独立しようと考えていたと思います。DCMに入社するときから「起業する」とは聞いていましたが、実際に2年後に独立して、Origamiという会社をゼロから起ち上げた。多くの若者が「起業する」と言いながら、ほかのファンドやコンサルといった“誰かが作った会社に行く”という安易な選択をするのを横目でみてきていたので、有言実行する姿に単純に「すごいな」と。今、自分で会社を起ち上げてわかるのですが、自分で「ゼロ」から作るというのは本当にすごいことです。それを僕よりも先にやっていて、なおかつ増資にも結び付けている。

康井義貴(以下、康井):僕がDCMに入社したのは、元さん(伊佐山氏の呼び名)と一緒に働きたいと思ったからです。当時は、リーマンショック後で、勤務していたリーマン・ブラザーズを辞めて、外資系ファンドを中心にほかからも話をいただいていました。ですが、元さんと初めて会ったとき、ファンドビジネスだけど、人間味があり、アントレプレナーマインド(起業家精神)を持っている人だと強く感じ、どこのファンドに行くという“看板”ではなく、「この人と働きたい」と。そして2年間、さまざまな案件も一緒にやらせてもらい、一緒に仕事をしました。

僕は高校時代にeコマースのビジネスをしており、当時の原体験が強烈にあり、起業したいという思いが昔から強くありました。とはいえ、ひとりで「ちょこちょこ」とビジネスをするのではなく、全然違うスケールのビジネスをしたかったので、元さんを前にして言うのも何ですが、VCで修行して学びたいなと(笑)。

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