きっかけをくれた「YOLO(ヨーロー)」という言葉
伊佐山元(以下、伊佐山):ヨッシー(康井氏の呼び名)は、僕の前職であるシリコンバレーのベンチャーキャピタル(VC)のDCM時代に、日本で展開するときに雇った部下のひとり。いわゆる「外資の日本進出」ではあるのですが、“ガイジン目線”ではなく、日本のことをよくわかったうえで、グローバルなアプローチもできる人材という難しい条件に当てはまったのが、ヨッシーでした。
シリコンバレーのVCは、基本的には若い人を日本のようには長期雇用せず、2~3年訓練させ、投資先の経営や起業家として外に出て行ってもらうことが一般的です。それを合意のうえでDCMに就職したヨッシーからすると、2~3年間、目いっぱいシリコンバレーのベンチャーの仕組みを勉強して、どこかで独立しようと考えていたと思います。DCMに入社するときから「起業する」とは聞いていましたが、実際に2年後に独立して、Origamiという会社をゼロから起ち上げた。多くの若者が「起業する」と言いながら、ほかのファンドやコンサルといった“誰かが作った会社に行く”という安易な選択をするのを横目でみてきていたので、有言実行する姿に単純に「すごいな」と。今、自分で会社を起ち上げてわかるのですが、自分で「ゼロ」から作るというのは本当にすごいことです。それを僕よりも先にやっていて、なおかつ増資にも結び付けている。
康井義貴(以下、康井):僕がDCMに入社したのは、元さん(伊佐山氏の呼び名)と一緒に働きたいと思ったからです。当時は、リーマンショック後で、勤務していたリーマン・ブラザーズを辞めて、外資系ファンドを中心にほかからも話をいただいていました。ですが、元さんと初めて会ったとき、ファンドビジネスだけど、人間味があり、アントレプレナーマインド(起業家精神)を持っている人だと強く感じ、どこのファンドに行くという“看板”ではなく、「この人と働きたい」と。そして2年間、さまざまな案件も一緒にやらせてもらい、一緒に仕事をしました。
僕は高校時代にeコマースのビジネスをしており、当時の原体験が強烈にあり、起業したいという思いが昔から強くありました。とはいえ、ひとりで「ちょこちょこ」とビジネスをするのではなく、全然違うスケールのビジネスをしたかったので、元さんを前にして言うのも何ですが、VCで修行して学びたいなと(笑)。
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