「日本の常識」だけでは成長の限界がある Origami康井義貴CEOと語る(下)

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「日本の常識だけにとどまらず、世界の常識を知り、理解できるか」――。
WiL伊佐山元CEOとOrigami康井義貴CEOの共通点は「世界を知り、日本も知る」という点だ。伊佐山氏は日本の大企業勤務後にスタンフォード大学院に留学し、シリコンバレーのベンチャーキャピタルDCMの本社パートナーとして活躍。康井氏はカナダ・トロント生まれでニューヨーク、日本、シドニーで学生生活を送り、米投資銀行リーマン・ブラザーズ、DCMを経て、現在に至る。 
スマートフォン向けのモバイルEC(電子商取引)プラットフォーム「Origami」は伊勢丹、吉田カバン、MoMA DESIGN STORE、IDEEなど有名ブランドが数多く出店する話題のサービス。アップルが提供するApp Storeにより、“App Store Best of 2013 今年のベスト”に選出という現在注目のサービスを展開するOrigamiの「ダイバーシティ(多様性)」を重視するチームの姿をきっかけに、これからの起業家のあるべき姿について2人が語る。

対談前編:“私が起業を決意した同僚の「ある一言」”はこちら

チームは“6カ国籍”、言語はもちろん英語

康井義貴(以下、康井):Origamiは10月には三越伊勢丹、KDDIと3社のパートナーシップを発表し、多くのユーザーさん、ブランドさんからも認められ始めています。現在、メンバーは10人強ですが、日本人以外も多くいます。僕自身がカナダ出身でもあるのですが、カナダ、イギリス、アメリカ、中国、韓国と5カ国出身のメンバーがいます。意図的にグローバルに採用したというよりは、「いい人を引っ張ってきたら、結果として」という感じです。すべて個人やチームのネットワーク経由で採用しました。

ただ、インターネットのビジネスは、「デイワン(1日目)からグローバル」。その世界で勝負している以上、「日本でしかできない」というメンタリティではない人が必要です。なおかつ、ダイバーシティ(多様性)も重要視しました。多様なバックグラウンドを持った人が集まるほうが“強いチーム”ができると信じています。

僕は、創業者にとって最も重要な仕事のひとつが、リクルーティングだと思っています。だから、起業してから最初の頃は、とにかくリクルーティングを行っていました。ただ、実際はというと、どこまでがリクルーティングか、そうではないかは、わかりません。たとえば、ある知り合いに呼ばれて会いに行ったら、そこにいた知り合いの人がよくてみたいな(笑)。「リクルーティングに行くぞ!」と形式ばって出向くわけではなく、日常生活の中でつねに「この人いいな」ということに関心を持ちながらやっていましたね。

伊佐山元(以下、伊佐山):たぶん、それが正しいですね。僕も初期のメンバーは、いわゆるリクルーティングという観点で選びません。一緒にやるメンバーは、過去に出会った人の中で「この人と一緒に仕事をしたい」「この人なら自分にない経験や人脈がある」「自分の子供を預けられる安心感、信頼がある」という人を選びました。特に、自分の直感やフィーリングなど、経歴には現れないものを大切にします。他方、自分が“楽”に雇える人や何でも言うことを聞く人ばかりを集めていたら、いいチームは作れない。たとえ明日会社を首になってもやっていけるような実力と心の強さを持っていない人は、僕の採用にはクオリファイ(最終予選)されないかもしれません。

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