日本の夫は「子育てが情けない」酷評される証拠 共働きでも育児・家事に消極的なケースが多い
これまで日本では親の経済状況によって子どもの教育に格差が生じるのは、機会の平等に反するという考え方が強かった。
ところが、拙著『教育格差の経済学 何が子どもの将来を決めるのか』でも詳しく解説しているが、近年は所得の高い親の子弟は高い教育を受けて当然であり、逆に所得の低い親の子弟は低い教育に甘んじるのもやむをえない、と思う人が増加している。
いったい何が教育格差を生み出しているのか。子育てと教育の関係を考えるうえで、現在の日本はどのような社会になっているか。
子育てと教育の国際比較
母親と父親の家庭における役割について、外国と比較してみよう。下の図は私たちにとって興味深い6ヶ国(日本を含む、韓国、タイ、アメリカ、フランス、スウェーデン)における、子育ての父母分担を示したものである。
(外部配信先では図表やグラフを全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)
補足すると、韓国は東アジアの国として日本と共通点が多く、タイはアジアであるけれど南アジアの国なので、文化や観念が東アジアとは異なる。アメリカは自立と競争を重視する国、フランスとスウェーデンは自由な国ながら福祉重視で、男女平等意識の強い国である。
以上を念頭に置きながら、比較結果を見てみると、この図で最も印象的なことは、日本で子育てのうち食事の世話を母親の役割とするのが86パーセント近くに達しており、フランスを別にすれば韓国とタイというアジアの国が続いていることである。欧米諸国においても母親が主であるが、日本は突出して高い。逆に、「主に父親」というのが2.5パーセントにすぎず、他の諸国も低いが日本は最低の割合を示している。
次の関心はしつけである。これはほぼどの国も父母による共同のしつけがいちばん多いが、日本では主に母親が43.4パーセントと他のどの国よりも高く、主に父親は4.2パーセントで最低である。しつけに関してはどの国においても父母の共通の役割となっているが、日本にはまだ父母の役割分担意識が強く残っているということであろう。
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