日本の夫は「子育てが情けない」酷評される証拠

共働きでも育児・家事に消極的なケースが多い

もし専業主婦であれば、家事・家族ケアに妻の比重が高くなるのは、ある程度理解はできる。その意味で興味深いのは西ドイツ(統一後のドイツであるにもかかわらず西ドイツとされているのは、多分地域として旧西ドイツの人々が標本なのであろう)である。

家事・家族ケア分担率50パーセント以上の夫の比率が16.8パーセントと低く、日本と大差がない。もっとも10パーセント未満の夫はゼロに近いので、日本の夫ほどの情けなさはない。西ドイツが日本の姿にやや近いのは、過去の日本のように妻がそれほど外部で働かず、専業主婦の数が他の欧米諸国より多かった歴史的経緯の名残と言える。

父親がかかわることがなぜ大切か

このように家事・育児に協力しない日本の夫の悪名ぶりはよく知られており、かつ深刻である。だが夫からは、「企業で猛烈に夜遅くまで働いているので家庭にいる時間がないのだ」との言い訳が聞こえてきそうである。

しかし、そんなことを言っていられない研究があるのを紹介しておきたい。父親の存在が子ども(特に男の子)の教育達成に与える影響としては、『教育と格差──なぜ人はブランド校を目指すのか』(橘木俊詔・八木匡、日本評論社、2009)で父親が大学卒という高学歴であれば、一般にレベルの高い専門職・管理職に就いている可能性が高く、子どもの教育も高くあってほしいという強い願望から学習方法や進路に関して父親が厳しく指導していることを示した。

あるいはすでに論じた遺伝の話題になるが、金子真理子「学力の規定要因──家庭背景と個人の努力は、どう影響するか」(苅谷剛彦・志水宏吉編『学力の社会学──調査が示す学力の変化と学習の課題』所収、岩波書店、2004)によると、父親が大卒の場合には父親の能力が高い確率が高いので、子どもが生まれつき高い能力を持っている可能性があると指摘されている。母親の能力が明らかでない限り確実なことは言えないが、父親の能力が子どもの能力に遺伝している可能性が示されている。

また橘木俊詔・松浦司『学歴格差の経済学』(勁草書房、2009)は、父親が大卒の理系専攻者であれば、息子も理系の大学に進学する可能性が高いことを示している。これも父親の特質が男の子に遺伝として継承されたものとみなせるだろう。

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