86歳現役が語る定年後を惨めにしない仕事指南 おいそれとは死ねなくなる将来に必須の4資産

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そもそもフリーになったとき、私は90歳まで働くつもりだったわけではなく、1日でも長く現役で頑張りたいという気持ちだけで、その日、その瞬間を、全力で生きてきたというのが実感です。ただ、改めて歩んできた道を振り返ってみると、今の自分を支えている4つの資産が浮かび上がってきます。

好奇心、教養、人脈、そして目標――。これらは、現役サラリーマンにとっても大事な資産です。と同時に、定年を迎えて会社を辞めた途端、失いやすい資産でもあります。持つべき発想は、この4つの資産を60歳で使い切るものと思わずに、定年後の人生にも存分に生かせるよう、会社にいるときからつねに磨き続けることではないでしょうか。

定年後を支える4つの資産を活用する

ここで4つの資産の磨き方を一部紹介します。

・好奇心
自分にないものを持っている相手をリスペクトできなければ、真摯な姿勢で情報を得ることはできなくなります。自分自身の知見と感性をアップデートしていくためには、若い人たちから得る情報はとても貴重です。

・教養
何かを主張するときは、論拠となる知識や情報が多いほど説得力に富んだ内容になります。「六十の手習い」という言葉があるように、新しいことを学び始める時期に年齢は関係ありません。私も60歳を過ぎてから、日本の近現代史を一から勉強し始めました。

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・人脈
私を批判する人がいれば、それは私の原稿や発言にしっかり向き合ってくれたうえでの反応なのだと思うことにしています。自分の人生を豊かにしてくれる人脈というのは、本音でものが言えて、そのうえでお互いを高め合うことができる関係でなければならないと思います。

・目標
いつまでも元気で働きたいという目標は、誰の人生にも設定できる大きなテーマですが、その反面、とても漠然としています。そこで、自分がわくわくするような“夢”や“希望”を未来に用意してやるのです。 

私が実践してきた“自分磨き”は、4つの資産を定年後も存分に活用するためのトレーニングみたいなものであり、自分らしく生きるための「課題」への克服法といえます。その中には、読者の皆さんにも共感できるところが少なからずあるのではないかと思っています。 

田原 総一朗 ジャーナリスト

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たはら そういちろう / Soichiro tahara

1934年滋賀県に生まれる。1960年早稲田大学を卒業後、岩波映画製作所に入社。1964年東京12チャンネル(現・テレビ東京)に開局とともに入社。1977年フリーに転身。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。1998年戦後の放送ジャーナリスト一人を選ぶ城戸又一賞を受賞。

著書に『伝説の経営者100人の世界一短い成功哲学』(白秋社)『戦後日本政治の総括』(岩波書店)『創価学会』(毎日新聞出版)『塀の上を走れ 田原総一朗自伝』(講談社)などがある。

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