86歳現役が語る定年後を惨めにしない仕事指南 おいそれとは死ねなくなる将来に必須の4資産

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2014年に施行された高年齢者雇用安定法の改正によって、一般企業で行われてきた60歳定年制は、もはや一昔前の仕組みになりました。60歳以降の再雇用は定着してきたし、定年そのものが年金受給年齢に合わせて65歳に引き上げられようとしています。さらに、政府は70歳まで働き続けられる制度の導入を打ち出していて、その就労環境の整備は2021年4月から企業の努力義務となります。

すでに社会は、40年働く時代から「働けるうちは働く時代」へとシフトしました。問題は、働けるうちは働くという生き方にとって、定年後の雇用延長という仕組みが、実は大きな落とし穴にもなりかねないことです。

60歳以降も会社で働けるといっても、それ以前と同等の条件で働ける人は少数派です。多くは嘱託的な雇用となり、給与が半分以下になったり、キャリアを生かせない単純労働に就かされたりする。その働き方は、はたして「自分らしい人生」と呼べるでしょうか。

もっと言うと60歳で会社に再雇用されても、70歳までに退職させられるのが現状です。そこから自分らしく働ける生き方を探し始めても、簡単には見つからないでしょう。ということは、まだ働ける10年、20年を、あるいは100歳までの自由に使える30年間を、漫然と生きることにもなりかねません。

会社から与えられた肩書、退職後は無価値

定年後に、個人の名刺を作る人もいます。会社に属していなければフリーランスです。私も立場はフリーだから、自分の名刺には名前と連絡先しか記していません。しかし、社名や肩書のない名刺では不安なのか、「元××株式会社 常務取締役」などと、退職した会社での地位を名刺に刷る人もいます。

残念ながら、定年後の“今の自分”を評価してもらうには何の役にも立たない情報です。会社から与えられた肩書は、会社に属している間しか通用しない。「元××」が、たとえ熾烈な出世競争の末に勝ち取ったポストであったとしても、退職した人間の価値まで保証してくれるものではありません。より長く現役で働くために必要なのは、“今の自分”を表現できる生き方なのです。

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