過密する「東京の人口」が減少に転じたカラクリ 一方で品川・千代田・中央など一部の地区は増加
緊急事態宣言が継続された5月と第2波に見舞われた7月を中心に、東京を軸とした人口移動が減少したのだ。それでも今年1月を基準に東京都の総人口を見ると、8月1日現在では約4万2000人の増加となっている。コロナ禍で人の動きは鈍ってきたものの、人口増加そのものは止まっていないのである。
東京都の人口増減の内訳を詳しく見てみよう(住民基本台帳)。
8月 総人口 1387万7010人
総人口は4万2085人増えている。このうち日本人と外国人の人口増減はどうなっているのか。
外国人 (1月) 57万7329人 (8月)55万2905人 ※2万4424人減
コロナ禍が長引く中、転出超過の月が2回あったが、東京の日本人人口そのものは増え続けているのだ。8月1日現在の総人口が前月比で5903人減ったが、主因は外国人の減少だった。同時点の人口を前月と比べてみると、日本人は180人増加しているが、外国人は6083人と1.1%減少した。つまり、8月の東京人口が前月比で減少と言っても、実態は外国人が東京からいなくなったということなのである。
感染が多い東京を離れる外国人
外国人の減少は、コロナ禍が深刻な問題となり始めた今年2月以降ずっと続いている。今年になってからの人口増減の一覧表をご覧いただければ一目瞭然だ。(外部配信先ではグラフや図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)
今年になってから、8月1日までに2万4424人の外国人が東京から離れていったのである。その要因として以下のような点が指摘されている。
② 一時帰国した外国人が入国規制で再入国できていない。
③ 各国から新規の留学生などが入国していない。
④ 日本経済の低迷、地盤沈下で撤退する外資企業などが増えている。
長引くコロナ禍の影響が大きいのは確かだが、むしろ心配なのは外資の日本離れ、東京離れだ。ここ数年、金融、メーカー、流通からメディアまで、東京に拠点を置く意味がなくなったとして撤退する動きがいろんなところで見られるようになってきている。
東京がアジアマーケットの拠点としての座を失いつつあるのだ。小池都知事は再選時の選挙公約で「都民の命を守り『稼ぐ』東京の実現」を掲げていたが、とてもそんな状況ではないようだ。
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