「最近の若手」に不満な大人に知ってほしい現実 日本社会の4つの分断に勝つ理想的な人材像

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「専門性」を磨くという観点では、諸外国と比較しても日本の高等教育のレベルは高く、実際に理系の学生はよく勉強している。一方で、「目的」を示し、その「専門性」を組み合わせて、課題を解決できるようなリーダー型の人材の育成は決して十分とは言えない。これが日本社会の課題といえる。

犯人捜しや責任転嫁しても課題は解決しない

では、人材をどのように育てていけばよいのだろうか。

育成の責任を「大学」や「企業」の「特定の主体」に求めても、課題は本質的に解決できない。大事なことは、犯人捜しや責任転嫁をやめ、若手に向き合う「各主体」が相互に連携し、全体最適で育成に向き合うことにある。

『エッジソン・マネジメント 尖った優秀な若者をどう採用し、いかに育てるか』(PHP研究所)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

もっといえば、セクターを超えて、産官学が手を取り合い、若手が直面する「4つの分断」を最適化することは、人材こそが最大最強の資源である日本において極めて重要度の高い「国家的課題」といえる。

日本の変化・発展の歴史をひもとくと、「人創り」に行きつく。

トヨタ自動車は「モノづくりは人づくり」と捉え、松下幸之助も「物をつくるまえに人をつくる」と事あるごとに話していた。幕末の「松下村塾」や、戦後の「吉田学校」しかり、日本は苦しいときにこそ、人を磨いてきた。

ただ、その意味では、私は日本の現状に楽観的な見通しも持っている。なぜなら、「人創り」に熱い想いを持つ「同志」や「仲間」が産官学にいるからだ。本連載の第2回以降は、現在進行系で動いている新たな取り組みやその胎動について、具体的に紹介していく。

(第2回に続く)

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