「有名人の誹謗中傷」にハマった60代女性の悪癖

「整形女」「枕営業」悪質な投稿を何度も繰り返す

なぜ老人たちはネットで「誹謗中傷」を繰り返すのか?(写真:C-geo/PIXTA)
昔の勤務先の悪口を匿名掲示板に書き込んだり、嫌いな有名人の誹謗中傷を繰り返したりなど、近年、ネットを利用する高齢者による法的トラブルが増えている。昨今の老人たちは、なぜネットを使った誹謗中傷にのめり込むのか? 老人問題に詳しいライターの林美保子氏による新書『ルポ 不機嫌な老人たち』より一部抜粋・再構成してお届けする。

近年、集団訴訟にまで発展したことで耳目を集めた弁護士大量懲戒請求事件。このほかにもネットを利用する高齢者による法的トラブルは多くある。IT・インターネットに強いモノリス法律事務所で代表を務める河瀬季(かわせ・とき)弁護士によると、高齢者が匿名掲示板やSNSで誹謗中傷の加害者になる事例が増えており、その被害者から相談を受けることがあるそうだ(※守秘義務の観点から事例については、一部変更しています)。

「昔の勤務先の悪口」を書き連ねる60代男性

定年退職した60代の男性が、長年勤務したA社をターゲットに、匿名掲示板で罵詈雑言を執拗に繰り返したというケースがある。その元社員は数カ月もの間、「洗脳」「カルト宗教」などといった過激な言葉をむやみやたらに使い、従業員が皆奴隷であるとか、特定の管理職社員が不倫やセクハラを行っているとか、A社の悪口を書き連ねていた。

「暇になってパソコンにへばりついていたのか、ほぼ毎日書き込んでいましたね」

企業にとって、風評被害は社会的な信用を落とし、売上減や採用難といった問題を引き起こしかねない。

「『あの会社はよくない』などといった抽象的な言い方をしている分にはまだ聞き流せても、人物を特定して書かれると、さすがに黙ってはいられなかったようです」

会社としてはすぐにも対処したいところだが、インターネット上のこととなると、ややこしい問題が発生する。

誹謗中傷は匿名で行われるケースがほとんどであるため、一般的には発信者の特定がしづらい。そこで、掲示板やブログなどのサイトの管理人やプロバイダに、「書き込みの削除」と「発信者情報開示請求」を行うのが、依頼された弁護士の重要な仕事になる。

発信者情報開示請求とは、プロバイダ責任制限法に基づき、書き込みの犯人特定を求める正当な理由があるときに、サイト管理者などに対し、発信者の情報(住所・氏名・IPアドレスなど)を求めるものだが、個人情報保護の観点から簡単に応じてくれるわけではないからだ。

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