バイデン政権なら米中そろって「TPP参加」も カルダー教授に聞く「新冷戦」時代の日米中関係

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バイデン氏と習近平国家主席との付き合いは長い。写真は2013年12月に北京で会談した両氏(写真:ロイター)
11月のアメリカ大統領選が近づく中、アメリカと中国が双方を挑発するチキンゲームが激しさを増している。アメリカは「新冷戦」にどこまで本気で、中国とどう向き合うつもりなのか。そして日本に期待する役割は。アメリカを代表する日本研究者で、ユーラシア情勢やエネルギー安全保障にも精通するジョンズ・ホプキンス大学のケント・カルダー教授に聞いた。

――ポンぺオ国務長官は7月に行った演説で中国を厳しく批判、「新冷戦」の幕開けと騒がれました。

ポンぺオ長官の発言は選挙用のレトリックだと思う。米中の経済をデカップリングするといっても、企業は自社の競争力を損なうような選択はしない。アメリカ政府が自国の企業に中国で生産させないといった経済的に不合理な行為を本当に強いるかというと、ちょっと疑問だ。AI(人工知能)、5G(第5世代移動体通信)などの技術では民間用と軍事用の垣根がなくなってきており、このことが米中関係の緊張を高めているのは確かだ。また医療用物資などの分野では中国への依存度を下げねばならないが、あまり極端なことはできないだろう。

――対する民主党のバイデン候補はどうでしょう?

バイデン氏は中国バッシングにそう積極的でない。アメリカの同盟国の多くも、アメリカが対中強硬外交を続けることを望んでいないと思う。

バイデン氏が副大統領を務めたオバマ政権は中国に少し甘かった。COP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)でパリ協定を成立させるための中国との協力などを強調しすぎた一方で、経済競争、とくに技術への目配りが不足していた。

その反省を踏まえて、バイデン政権はアメリカの安全保障のために中国との技術をめぐる競争をもっと重視するだろう。また、日本をはじめ欧州諸国など同盟国との関係を一層大事にする。香港国家安全維持法や新疆ウイグル自治区での人権抑圧の問題などでも、同盟国との協力をより強調すると思われる。

バイデンは習近平とも長い付き合い

――バイデン氏の中国観はどういうものでしょうか。

私は最近、バイデン氏の出身地であるペンシルバニア州スクラントンを訪ねたが、もともと炭鉱町で労働組合が強い土地柄だ。彼はそうした風土で育った古いタイプの政治家であり、反共産主義ではあっても中国を強く意識したことはあまりないだろう。

バイデン氏は上院外交委員長を長く務めただけに、国際的な人脈も豊富だ。副大統領時代には当時中国の国家副主席だった習近平氏と悪くない関係を築いた。

要するに彼はグローバリストだ。「中国も国際社会のステークホルダーであり、ちゃんと付き合わなければいけない」と考える。中国の台頭は当然意識して対応するが、トランプ政権のように2国間の厳しい制裁で言うことを聞かせようとするのではなく、国際的な枠組みのなかでの対応を優先して考えるだろう。トランプ政権が脱退したイラン核合意やパリ協定に復帰し、これらを機能させるためにも中国の協力が必要だ。そうしたグローバルな課題はたくさんある。

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