大学入試「英語4技能検定」から考える受験戦略 受検のメリットと攻略を握るカギとは

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少子化が進む中で、危機に瀕しているのは私立大学といえるでしょう。子どもの数が減れば入学してくる学生の数は減り、何もしなければ運営資金が減ることになります。そのうえ、大学にとってビッグイベントである、大学入試の試験実施には多額のコストがかかります。実際に1つの学部の入試で、問題作成や採点の費用などを合わせると、少なくとも数千万円、多いところでは1億円以上のコストがかかる大学もあるようです。

こうした状況で、経営的側面がより強い私立大学が入試問題作成などの「コストカット」のために外部検定試験を利用するのはある意味で筋が通っているといえます。

また、大学にとってもう1つ大きなメリットがあります。それは、外部検定試験のスコアを受験生に課すことで、「入学してくる学生の英語力をある程度担保できる」ことです。

この後の話にも関連しますが、英検などの外部検定試験はCEFR(外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠)と対応しているということになっています。その指標上、大学入試のスコア利用で優位性のある(受験上の恩恵が最も大きい)のは「B2」レベル、というのが一般的な現在の外部検定利用入試の状況です。

B2レベルとはどの程度の英語力かというと、「上位の自立した言語使用者」レベル、大雑把に言うと「社会的な場面・内容で英語を運用することができる」レベルということになろうかと思います。

現在大学では英語そのものを学ぶことよりも、英語を駆使して研究したり発表したりすることが重視される傾向があります。ただ、そうした英語力を持った学生であるかどうかを大学が独自に判断するのは非常に「手間」のかかることです。

そのため、学生の多くがアカデミックな文脈で英語を使える素地を身に付けて(少なくともとりあえずの「客観的証拠」を持って)入学してくるとすれば大学にとって好都合だということになります。就職率も気にしなくてはならない昨今の大学の状況からすれば、こうした「資格」は一層魅力的に感じられるでしょう。

受験生にとってのメリット

では、受験生にとっては何かメリットがあるのでしょうか。「大学入試がこう変わるからやむをえずそうする」受験生にとってもメリットとするべき部分は存在しています。

それは「受験を突破するには、戦略的に、多くの選択肢をもっておくべきだ」という点と関わります。

私の勤務する予備校の上位のクラスでは必ず高1で英検2級、高2で準1級を取得するよう指導しています。なぜか。それは、「準備の段階で負けないため」です。高1のときに「国公立大学に行きたい! それ以外の選択はありえない!」と思っていても、実際の受験のタイミングでは私立大学を併願する生徒は多くいます。その際、国公立大と私立大の出題傾向の違いに戸惑い、土壇場で焦って、併願校の合格すら逃してしまう例は少なくありません。

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