街歩きから見えてきた「住宅業界」苦境の真因

消費者の選別化はより一層進む状況になる

それは飯田グループホールディングス(HD)が発表した2021年3月期第1四半期業績だ。それによると、売上高が前年同期比7.6%増の3219億円、営業利益は同22.2%減の157億円となっている。

同社は飯田産業、一建設、東栄住宅、タクトホーム、アーネストワン、アイディホームが経営統合し、2013年に設立された企業だ。比較的低価格の分譲住宅を中心に全国で年間約4万棟を供給する、棟数ベースでは業界トップの企業である。

販売を目前にした「ミニ戸建て」のイメージ(写真:筆者撮影)

戸建て分譲事業の売上高が全体の87.6%を占めるが、売り上げ増について「テレワークの拡大、在宅時間の増加等により戸建て住宅への関心が高まっている」、「当社物件サイト『すまいーだ』へのアクセス数が前年同期比181%増」となったことを要因としている。

にじみ出る今後への危機感

一方、利益減少の要因については「価格対応を柔軟に行ったことにより、平均販売価格が29万円減少した」とあるが、これは値引きをしたことの表れだと考えられる。また、今後については「在庫圧縮を最優先で取り組む」としている。

同社の第1四半期業績はいわゆる増収減益という結果だったが、そこには分譲戸建て市場に値引きなどによる収益性が低下傾向、さらに在庫の増加への懸念の高まりがあることがわかり、筆者のウォーキングの成果と合致するものがある。

少なくとも、飯田HDほどの大企業であっても、新型コロナの影響に強い危機感を持っていることはご理解いただけるだろう。同社は売上高の増加について「当初想定に反し分譲住宅への需要が順調に推移したもの」との見解を示している。

施工現場のイメージ。今のような状況が絶えることがない(写真:筆者撮影)

ところで、今回のテーマを執筆したいと考えたのは、新型コロナウイルスの感染拡大が住宅産業にどのような影響を与えているのかについて、これまでの指摘に違和感があったこともある。それは大まかには以下のようなイメージだ。

・分譲マンションの販売が減っている
・その分(あるいは一部)が分譲を中心とした戸建てにニーズが移っている
・その理由はマンションより戸建ての方が、在宅(テレ)ワークを含むステイホームに対応しやすいから

次ページ話はそれほど単純なものだろうかという疑問
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