問題発見と問題解決は思考回路が真逆
これまでの日本企業の典型的勝ちパターンは、「すでに決められた枠の中を最適化する」ことではなかっただろうか?
ある程度製品の大枠が決まってからそれを高性能化し、低コスト、軽量小型化することは自動車や電気製品で見られた日本製品のひとつの勝ちパターンだったと言える。
ところが社会や市場の成熟化、新興国の台頭、製品のコモディティ化、ICTの発展などによって、「枠の中を最適化する」という勝ちパターン以外のことが求められる場面が多くなっている。
ところがここでの最大の問題は、従来の問題解決に求められていたスキルやものの考え方と、上流の問題発見のためのスキルや考え方は、真逆と言えるぐらいに異なっていることである。
思考の視点が、「ストック思考」vs.「フロー思考」、「閉じた思考」vs.「開いた思考」、そして「2次元思考」vs.「3次元思考」と、大きく3つの次元で対極になるのだ。
うまく状況に合わせて「ギアチェンジ」できる「スーパーマン」もごく少数は存在するが、ほとんどの人間はどちらかのみを得意とする。これらはお互いに打ち消し合う力となって働く場合すらあるのである。
一方、これまで社会や企業組織あるいは教育は、基本的に「問題解決」型を想定して最適化されていた。したがって「問題発見」型人材が必要とされても、それを生み出し、活用することができないという構造的な根の深い問題が存在する。このことをおぼろげながら感じている人は多いが、明確にこのギャップを把握したうえで行動している人はほとんどいないように見える。
そこでこの連載では「問題解決」に適した思考回路を「アリの思考」とし、「問題発見」に適した思考を「キリギリスの思考」として、その対照的な思考回路のギャップのメカニズムを明確に示すとともに、ギャップを埋める解決策の方向性を探りたい。
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