新年度初め、全社員を前にして、力強く社長が語り始めました。
社長「グローバル化の中、会社の力が真に試される時代となりました。ここ数年、わが社の業績が思うように伸びなかったのは、まことに遺憾です。わが社は、今年度が正念場。この未曾有の危機に、“組織一丸となって”立ち向かわねばなりません!」
Aくん、隣に立っている先輩につい聞いてしまいました。
A「先輩、『組織一丸となる』って具体的にどういうことをするのですか?」
先輩「しーっ、黙って聞いていろよ」
社長「そのためには、会社組織が一体とならねばいけません! 今年はトップも不退転の決意で臨むつもりであります。それを受けて、従業員の皆さんも一人ひとりが経営マインドを持って、頑張ってほしいと思います!」
A「先輩、『経営マインドを持つ』って?」
先輩「しーっ」
社長「上司も部下も心をひとつにしてほしいのです! トップが決めたことを、素早く間違いなく実行できるようにしていただきたい。グローバル化では、何よりもスピードが大切です。今までのように、会議に時間を使っていてはいけない。状況に素早く対応して、必要な態勢を組んでいかなくてはいけません! 上の命令を部下が間違いなく理解して、一糸乱れずに行動する。そういう正確さが必要なのです!」
「組織一丸となる」は実現できるのか?
社長の訓示は終わり、A君は自席に戻りましたが、どうも納得できません。
A「先輩、さっきの社長の訓示の意味、わかりました?」
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